焼けた人間の肌の匂いを嗅いだのは
いつのことだっただろうか
はじめは吐き気を催したものも
今ではそれが日常になってしまった
あまりにも簡単に人間が殺されてゆくので
まるで白蟻やゴキブリといった害虫駆除のようにも思えた
70億もの孤独に耐えきれない地球が
人間を間引いているかのような

それでも愛おしい貴方の命が奪われるのならば
私は命を省みず復讐を誓うだろう
それにより私は獣に近づくのだが
それでいて私は人間に近づくのだ
だが私に殺されるその人を
愛してる人間の感情はどうなるのだろうか

所詮愛情など子孫繁栄のための
性欲を優しさで隠したものである
そういった意味では
6畳のカビ臭い部屋で
血が滲むシーツの上で
わざとらしいあえぎ声と共に
「貴方を愛してる」と呟く私と
それまたわざとらしく
私の髪を撫で 「愛してる」
と囁くあなたの
および この地球にのしかかった
厚顔無恥な70億もの孤独も
全て浄化され
愛という素敵な嘘で包まれる日は訪れるのだろうか

これは核爆弾が落ちたあの夜の唄だ

終焉のLove song

核爆弾が落ちた夜 
愛を歌ってたやつらは 
みんな みんな 死んじまった
壊れたギターで歌おうか
僕からあなたに贈る
ラララ 終焉のラブソング

腕をなくした兵士は
娘の名前を叫んでた
もう抱き締められないこと 知ってた
終わりに向かう僕らは
明日の話はできなくて
今の話だけをしてきた

大きな穴の空いたボートで
世界を一周するような
そんな確率で産まれた僕ら
こんな星で見つけてしまった
強く輝いた光
僕らには眩しすぎたのかな

煙が空を覆う昼
正義を愛したやつらは
みんな みんな死んじまった
生き抜くほどには 醜く
死んでいくには 美しく
斜陽と 兵器と 廃墟

空を仰いで目を閉じる
浮かんでくるのは愛した人
もう二度と会えないこと 知ってた
お守りに握りしめた写真
血で滲んで見えなくて
あぁ もう 名前も呼べない

小さな穴の空いた風船が
宇宙に旅立つような
そんな確率で出会った僕ら
あなたのそばに僕は居て
僕のそばにはあなたが居た
それだけで繋ぎとめたんだ

ラブソング ラブソング 刑罰 死傷 悲鳴
ラブソング ラブソング 裏切り 条約 体液
ラブソング ラブソング 焦燥 愛情 愛憎
ラブソング ラブソング 

兵士の帰りを待ってた女は
寂しさの余り自殺した
それをだれが愛と呼べるの?
女を愛した兵士は
他人の未来を打ち消した
それをだれが悪と呼べるの?
枯れた声で唄歌う 
銃声とメロディー 四分音符
あなたのそばで死んでゆく
枯れた声で確かめる
あなたがそばにいること
あなたのそばで生きてゆく

核爆弾が落ちた夜 
愛を歌ってたやつらは 
みんな みんな 死んじまった
壊れたギターで歌おうか
僕からあなたに贈る
ラララ 終焉のラブソング

愛さなきゃよかったなんて言わないで

核爆弾が落ちた夜

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