東京都心で生活をしていて、アニメに触れない日はない。今、注目の作品を伝えるデジタルサイネージ、イベントのポスター、バッグに“推し”のチャームをぶらさげた若者。押し寄せる訪日客もアニメの魅力にぞっこんだ。そして、その存在感は、ファッション業界でも見過ごせないほどに大きくなっている。昨今はラグジュアリーからリアルクローズまで、ブランドからコラボのラブコールが絶えない。(この記事は「WWDJAPAN」2025年4月14日号からの抜粋です)
コラボ成功の
王道ストーリーを考える
一般社団法人 日本動画協会によれば、2023年の日本のアニメ産業のグローバルにおける市場規模は前年比14.3%の3兆3465億円(下記図表)となり、過去最高となった。伸び率・増加額ともに過去最大であり、市場の勢いを物語る。特に海外市場の成長が目覚ましく、前年比18.0%増の1兆7222億円(こちらの図表)とこれも過去最高を更新。国内市場を上回ったのは、コロナ禍の20年以来2度目のことだった。日本のアニメ作品の地域別契約数(ネット配信サービスなど)の比率を見れば、アジアを中心に世界中に流通していることが分かる。
日本アニメ産業の市場規模(グローバル)
出典:日本動画協会(アニメ産業レポート2024)
アニメ作品の地域別契約数の比率
出典:日本動画協会(アニメ産業レポート2024)
この盛り上がりを、ファッション業界は見逃さない。ラグジュアリーから国内アパレル、スポーツ、時計やアイウエアまで、これまでさまざまなブランドがコラボを実施してきた。反響の大きさは、この特集を読んでもらえれば分かるだろう。昨今の業界の悩みのタネといえば猛暑などの気温、その読みが外れたときの在庫過多。その点、暑い寒いにかかわらず人気タイトルは「即完売」のアニメコラボからは、学べることもあるのではないか。
一方で、アニメファンはそのエンゲージメントの高さゆえ、ときに牙をむく。「世界観を分かっていない」「このキャラクターはこんな服を着ない」など、ファンはコラボ商品のできばえから作品への理解度を厳しく判断する。安直な気持ちで取り組めば、ブランドイメージを損なうだけだ。一方、おじけづいてTシャツにキャラクターをプリントするだけでは売れない。レッドオーシャンとなりつつあるアニメ×ファッション市場において、ブランドらしい落とし込み方を欠けば、ありきたりのコラボのうちの一つに埋もれてしまう。
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