酷評コメント並ぶ…『Quake II』インスパイアのマイクロソフト公開AI生成デモ。「ひどい乗り物酔いになった」「これは本当に酷い」
(Game*Spark)
マイクロソフトはブラウザ上でAIがプレイヤーの操作にリアルタイムで応答し、ゲーム環境を生成する「WHAMM(World and Human Action MaskGIT Model)」の改良版を4月4日に発表。この技術デモとしてFPS『Quake II』を学習させた体験ページを4月6日に公開しました。
人間による実際ゲームプレイデータを学習させた「WHAM」は、ゲームのビジュアルとプレイヤーのコントローラ入力を予測でき、従来のゲームエンジンに頼ることなくリアルタイムにプレイ体験を生成できるというもの。
Copilot Labsのサイト公開されているデモ版はわずか1分と短い内容ですが、開発者いわく「WHAM」を『Quake II』のゲームプレイを使って学習させたモデルで、「『Quake II』にインスパイアされたインタラクティブな空間に引き込まれ、AIがその場で没入感のあるビジュアルと反応の良いアクションを生成します」「最先端の研究を素早く説得力のあるプレイアブルデモとなっています」とQ&Aにて回答しています。
また今回のデモ公開は、前モデル「WHAM-1.6」からの学習時間の劇的な短縮、生成速度の向上といったあくまで技術面の進歩のお披露目をメインにしています。同社の公式サイトでも「オリジナルの『Quake II』をプレイする実際の体験を完全に再現するものではありません」「敵キャラクターはぼやけて見え、戦闘で敵とプレイヤー双方にダメージが入るなど不正確です」「空や床を1秒見てから再び視線を戻すことで、敵を倒したり出現させたり、マップをテレポートできてしまう」といった、デモ版の限界や問題点も隠すことなく明らかにしています。
「まだ開発中という弁明は納得できない」海外メディアは辛口批評
しかし、古典的名作『Quake II』を学習させたAIという点が、期待値を大きく上げすぎてしまったのか、海外メディア「PC Gamer」は「マイクロソフトはこの技術開発に数十億ドルを投資し、科学雑誌「Nature」で発表された論文によれば22人の著者が関わっている。にもかかわらず、Copilot Gamingでの(記者による)体験はぼやけてベタベタした映像で、ひどい乗り物酔いになった」「登場したばかりの生成AIやかつてのブロックチェーンと同様に、“まだ開発中のファーストステップだから”という弁明は想像できるが、私は納得できない」と辛らつな評価を下しています。
また、今回のデモ公開について取り上げたジェフ・キーリー氏のXの返信には、「これは本当に酷い。『Quake II』の良さはそのスピード感なのにこのデモ動画は、走るのが苦痛に見える」「これ(AI)であなたの業界の人々が職を失っています。代わりに人間が作ったものを宣伝したらどうですか」など技術的な部分への注目よりも、『Quake II』とは呼べないというガッカリ感と、生成AIへの強い拒否感のコメントが数多く見られます。
より詳細な技術部分について知りたい方は、マイクロソフト公式ページやCopilot Gaming Experiences、2025年2月に「Nature」で公開された論文「World and Human Action Models towards gameplay ideation」をご覧ください。
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