イマジニア×トイボックスが送るNintendo Switch用ソフト「ミステリーの歩き方」は、物や人が秘める過去をのぞくことができる「過去視」の能力に目覚めた主人公が、現在と過去の情報を組み合わせて推理していきながら30年前に起きた謎多き殺人事件を追うミステリーアドベンチャーです。実際にプレイしてみて、謎解きパートはどのような感じか、ストーリーはミステリーとしてどのようなものかを確かめてみました。
ミステリーの歩き方| Nintendo Switch
https://mysterywalk.jp/
「ミステリーの歩き方」は、まず短いムービーから始まりました。病床に横たわる少女が、誰かの手の中でゆっくりと命を落とします。
「起きて」という声に呼ばれて目を覚ましたのは、主人公の赤沢独歩(あかざわ どっぽ)。
声の主は女の子のようでしたが、独歩に呼びかけていたのは電車の車掌さんでした。車掌さんに電車のチケットを求められ、「胸ポケットをさぐる」「ズボンのポケットをさぐる」と選択肢が出現。「ズボンのポケットをさぐる」を選んだところ無事チケットが見つかりました。なお、「胸ポケットをさぐる」にしても選択肢を選び直す形になり、問題なくストーリーは進みます。
独歩は大学の友人たちと集まって、「鳴美沢(なるみざわ)」という地域に合宿に行く途中です。鳴美沢では30年前に謎の残る殺人事件が発生しており、独歩たちは「ミステリー研究会」の課題としてその事件について調べに行くのだそうです。
ミステリー研究会のメンバーは、独歩をミステリー研究会に誘った友人である井沢幸太郎(いざわ こうたろう)。
世界的なグループ企業の御曹司で、名探偵を気取る東野陽炎(とおの かげろう)。
そして、父親が元警視総監で、大学に入る前は女子高生探偵としても脚光を浴びていた南条有栖(なんじょう ありす)。
鳴美沢に向かう電車の中で、4人はトラブルに遭遇します。乗車していた青年が所持していた女性アイドルのレアグッズが、誰かに盗まれてしまったとのこと。
グッズを盗んだと思われる容疑者に聞き取り調査をしていた時、独歩は容疑者が所持していたお菓子の箱が「紫のオーラ」に包まれていることを発見します。この紫のオーラは、独歩が約2年前から目にするようになった「思念」で、独歩がそれに触れるとその物や人の「過去の光景」を見ることができるというもの。
実際に独歩がお菓子の箱のオーラに触れると、周囲の景色が「解像度の低い」状態になりました。独歩が見ている過去の映像は、レトロなアドベンチャーゲーム風の見た目になる様子。ここからは、コマンドを選択して過去の映像から真相解明のためのヒントを得ていきます。
「まど」「ざせき」「ごみばこ」の選択肢から「まど」を選択してみます。
「たてものはみえず列車は森の中をはしりぬけていきます」と、特に参考にはなりません。
そして、「視界がせばまってきました。過去にいられる時間は限られているようです」と表示されました。プロローグの過去視はチュートリアルのため、すべての情報を見ることができますが、今後は限られたチャンスで確実に情報を得ていく分析力と勘が必要になりそう。
次に「ごみばこ」を選択してみたところ、「おかしのはこ」が捨てられているのを発見。
すると選択肢に「おかしのはこ」が出現しました。
おかしのはこは「みどりのふくをきた人」、すなわちグッズを盗んだ容疑者として疑われている人物が捨てた物だということが、独歩の過去視によってわかりました。
その後、何者かのひとかげを発見。
ひとかげを調べると、「ちゃいろのせいふく」を着た人物であるそうです。茶色の制服を着た何者かは、胸ポケットを気にしています。
ここで制限時間が来て、視界がゆがみ始めました。
独歩は元の時間に意識を戻します。過去視をしている間は時間がゆっくり進んでいて、過去の世界でじっくり調べ物をしても、周りには独歩が少し止まった状態に見えているそうです。
そして、推理パートが開始します。過去視によって独歩が得た情報をまとめて、疑われている容疑者の無罪を示しつつグッズを盗んだ犯人を特定していきます。
推理パートはどのような感じになるのかは、以下のムービーを見るとよくわかります。なおムービーでは、一部の会話パートをカットしています。
謎解きADV「ミステリーの歩き方」の推理パートをプレイ – YouTube
過去視で目にした過去の風景では、ゴミ箱にお菓子の箱が捨てられていました。独歩が過去視で見たことに、間違いはありません。そのため、ゴミ箱を調べてみます。
ゴミ箱に入っている物を選択。お菓子の箱は、「チョコレートの空き箱」です。裏面にアイドルのファングッズの応募マークが付いていますが、この箱はキレイな状態で見つかりました。乗客の中で容疑をかけられている人は、ファングッズの応募マーク付きのお菓子を複数購入していたため、そのアイドルのファンだと疑われ、レアグッズを盗んだ犯人と考えられていました。しかし、その人は応募マークごと箱を捨てていたため、単なるお菓子好きの人に過ぎないことがわかりました。
過去視で手に入れた情報を整理して、真犯人を言うよう有栖に促されました。これまで全く捜査線上に浮かばなかった「アリス」を選んでみたら怒られてしまいました。
真実は、「犯人は……乗客にはいない」です。左の女性は男性アイドルのファン、中央はアイドルをまったく知らない壮年男性、右はアイドルに興味がなく応募マークを捨ててしまった男性。どの人も、盗まれた女性アイドルのレアグッズのことを知らなかったはず、というロジックです。
5回ある選択肢を正しく選んだら推理終了。このエピソードはプロローグのため、1回間違えても選び直せば問題ありません。
真犯人を言い当てた後、電車は鳴美沢に到着。ここまでが物語のプロローグで、エピソードが終わるタイミングで「成績証明書」が表示されました。「ミステリーの歩き方」では、各エピソードで行う推理において、正解しても間違えても物語はそのまま進みますが、推理の正解・不正解はエピソード末尾の「成績証明書」に関係しています。
「次の話に進みますか?」と表示されたので「次の話へ」を選択。
「ミステリーの歩き方」は、全10話の連続ドラマ形式で物語が進んでいきます。各エピソードはサクサク読むなら30分程度、じっくりボイスを聞きながら読むなら1時間程度あり、エピソードごとにOP、ED、次回予告まで流れるため、アニメを見るように楽しむことができます。プロローグが終わって始まる第1話からは、「山鳴荘事件(さんめいそうじけん)」という古い事件を大きな目的として追いつつ、各地で遭遇する細かい事件に向き合っていきます。
山鳴荘事件とは、30年前に鳴美沢にある山鳴荘という館の敷地内で発生した殺人事件。内田水龍(うちだ すいりゅう)という有名な画家が山鳴荘で作品を制作していましたが、深夜に背中を刺されて殺害されているところが発見されます。既に収束した事件ですが、大きな謎が2つ。ひとつは、水龍の妻が自殺したこと。作品の制作中は誰も近寄らせなかった水龍が唯一近づくことを許していたのが妻だったため、当時は妻が最有力容疑者として疑われていました。被疑者死亡のまま幕を閉じた事件の真相は、本当に正しかったのでしょうか。そして2点目に、水龍の遺体には凶器のナイフの代わりに、1本の筆が突き立てられていました。象徴的とも言えるこの状況には、どのような理由があったのでしょうか。
物語を読み進めるのに便利な機能として、Xボタンを押すとメニューを開くことができます。「ミス研アプリ」を選択。
ミス研アプリとしては人物リスト、事件記録、マップ、用語の説明などのTipsを参照できます。物語を振り返りたいときや、推理のための情報を再確認したいときに便利。
セーブは捜査・推理パートの前にオートでされるほか、中断するときにセーブをしておくことでその地点に戻ることができます。そのほか、メニューから「履歴」を選択もしくはプレイ中にYボタンを押すことで、バックログを見ることができます。バックログはボイスの再生やその地点まで時間を巻き戻すなど、アドベンチャーゲームにほしい要素をきっちり備えていました。
そして第1話でも、カフェで出会った内田渚(うちだ なぎさ)という少女が探していたライターに紫のオーラを発見。
独歩が紫のオーラに触れると、過去視が始まります。お菓子の箱に触れた時よりもかなり昔の映像を見るため、さらに解像度が落ちたレトロな雰囲気になっています。
過去視をどのようにプレイしているかの様子は、以下のムービーを見るとよくわかります。
「ミステリーの歩き方」の鍵を握る「過去視」の捜査パートとは? – YouTube
このエピソードは、30年前に殺害された画家の水龍の兄弟である「渚のおじいちゃん」がなくしたライターを探すことから始まりました。独歩と有栖の捜索によりライターは発見できましたが、渚によるとライターは兄弟で1対あり、水龍が所持していたライターは生前に紛失しているそうです。片割れのライターに紫のオーラを見つけた独歩は、失われたライターを探すためにオーラに触れて過去の世界へ飛び込みます。
30年以上前の過去視だからか、電車のときよりさらにレトロな世界で探索を開始。まず、机の上に失われたライターを発見したので調べてみます。
すると女の子が出現したので話しかけます。
女の子はタイムカプセルを作っているのだそうです。大事な物を入れて埋めたいからといって、ライターを回収していきました。
その後、庭に出てみると、絵を描いている男性と先ほどの女の子を発見。
少し探索してから戻ると、女の子はタイムカプセルを花壇に埋めていました。プロローグの過去視とは異なり、ここでは時間制限までにすべての選択肢を選ぶことはできません。ただ、「ライターは女の子がタイムカプセルに入れた」「タイムカプセルは、水龍と思われる人物が絵を描いていた場所の近くにある、花壇に埋めた」という重要な事実が分かりました。
過去視による捜査が終わったら、次は「誘導」が始まります。独歩の過去視の能力は、妹以外には秘密にしているため、過去視で得た情報から推理を明かしてしまうことはできません。そのため、情報をほのめかしながら、名探偵である有栖が真相へたどり着いてもらうために誘導していく必要があります。
プロローグでは推理パートで選択を間違えても選択肢を選び直すのみでしたが、第1話からは推理パートで間違えると以下のように靴のアイコンがモノクロになります。このポイントによって、エピソード末尾の「成績証明書」が変化するというわけ。
第1話のラストでは、独歩の妹である魅月(みづき)も鳴美沢に登場。
そして、エピソード終了時にはEDムービーも流れました。
ED曲は、後のエピソードで登場する国民的アイドルグループメンバーの真白杏奈(ましろ あんな)として、声優の小倉唯さんが歌う「聖なる森」。
「ミステリーの歩き方」を遊んでみた感想として、まずは過去視というアプローチが面白く感じました。推理アドベンチャー系のゲームでは、捜査と推理がノーヒントだとなかなか気付きにくいようなこともあり、プレイ前は苦戦するか不安でしたが、主人公にしか使えない過去視が物語に組み込まれていることで難易度が落ちており、ストレスなくストーリーを楽しむことができます。ただ、難易度が高くない点や、どれだけ間違えてもストーリーが進む点などを含めて、「ミステリーの歩き方」は捜査と推理のパートを楽しみながら読むことができるノベルゲームという印象が強く、「知識とアイデアで進める推理ゲーム」を求めてプレイすると物足りなく感じる人も多そう。
ストーリーとしては、キャラクターたちの会話はポップで楽しい一方で、過去の殺人事件を追うという目的や、その事件およびキャラクターをとりまく伏線が序盤から感じられて、本格的なミステリの雰囲気もひしひしと味わうことができます。ストーリーの面でも過去視がうまく作用していて、ミステリーの構造を分かりやすくした上で学生たちが30年も前の事件を「推理」をする根拠にもなっているため、ミステリーファンでもミステリー初心者でも楽しみやすいと感じられました。
「ミステリーの歩き方」はNintendo Switch用ソフトで、パッケージ版、ダウンロード版ともに税込5980円。Amazonでも購入可能で、Amazonの価格は税込5677円です。
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