10 / 14(sat) 大阪展オープニング開催!【下條ユリ『墨と朱』版画 京都〜大阪 巡回展】
詳細は http://designde.jp/2016/09/yurishimojoi-sumi-to-shu/

#YuriShimojo
下條ユリ / Yuri Shimojo
画家。東京都三鷹市生まれ。80 年代、高校を卒業と同時にイラストレーターとして数多くのメディアで活動を始め、知名度、実績共ピークを迎えた1996 年に突如渡米。ブルックリンの自宅にアトリエを構え、NY のストリートアートシーンに身を投じ、特に9.11 以降は社会問題、自然や動物、または自身の内面に焦点を当てた作品を多く描く様になる。さらにハワイの辺境での暮らしや、世界各地への旅の経験から、土着文化やアニミズム、シャーマニズムに呼応した深いメッセージを含む抽象画を数多く発表する。
2015 年、京都に「お山のアトリエ」を構え、現在はNY と京都に創作拠点を置く。
web: https://www.yurishimojo.com/
instagram: https://www.instagram.com/yurishimojo/
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twitter: https://twitter.com/yurishimojo

『墨と朱』シリーズについて
日本に色彩の文化がはじめて現れたのは、今から約15000年前〜23000年前、縄文時代のことです。その頃には植物の灰や煤を動物の油で練った「墨」と、辰砂という鉱物からつくられた「朱」の存在が確認されており、土器や漆器を彩色する際に、この墨と朱の組み合わせは良く用いられていました。

2000年。下條ユリがこの『墨と朱』をブルックリンで、フランスの水彩紙やネパールの手漉き紙、またはホテルの便箋の裏に描きはじめたとき、その事実を知っていたわけではありません。 もちろん墨と朱は、日本では特別珍しい組み合わせではなく、書道の世界では、作品に作者のサインとして押される落款や、稽古の直しを入れる際に朱色が用いられます。

しかし、現在、墨と朱の2色を色料として用い、絵を書くことは決してポピュラーなことではありません。また、水墨画の伝統的な技法である、「にじみ」や「ぼかし」は彼女の作品にも見られますが、完成した作品は全く違う、オリジナルなものです。
彼女は「神秘的な永遠の奥深さを持つ墨色と、朱色の持つ強烈な存在感に魅かれ」その組み合わせに「2色2宇宙に陰と陽、静と動のバランスを見る」と語っています。
多くが円として描かれる朱と、繊細さと大胆さが複雑に絡み合い、具象と抽象が渾然一体となった墨の絵は、現代的であると同時に、原始的な文様、色彩感覚も思い起こさせます。

例えば、日本人は様々な自然現象を色によって表現します。
「墨=黒」は夜を。
「朱=赤」は朝を。
「黒」は冬の色。
「赤」は夏の色。
対比的なこの2色を用いることは、強いメッセージ性を表し、縄文時代から続く、日本の伝統的な意匠に綿々と受け継がれています。 自然信仰をはじまりとする縄文人の視覚表現と、現代のNYで生まれた『墨と朱』のシリーズが、意図すること無くシンクロしていることは実に興味深い現象です。 (*『墨と朱』のシリーズには縄文人が陶器に文様を付けるために用いた「縄」のようなフォルムも見ることができます。)

それは、NY、京都に制作拠点を置き、旅や日常を通じて世界中の文化と触れ合ってきた彼女が、本能的に向かった表現方法なのかも知れません。

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