パリ五輪でボクシングの女子66キロ級に出場したアルジェリアのイマネ・ヘリフ選手。2回戦でイタリアのアンジェラ・カリニ選手と対戦したが、ヘリフ選手のパンチを受けたカリニ選手は開始46秒で棄権。ヘリフ選手が昨年の世界選手権の性別適格検査で不合格になっていたことから、彼女の出場が適正なのかどうか物議を醸した。またヘリフ選手に対する誹謗中傷もネット上に殺到した。これに対して国際オリンピック委員会は「パスポートの性別は女性である」とコメントを発表、出場に問題はないという姿勢を貫いている。

そのヘリフ選手が放送局「SNTV」のインタビューを受けた。「私は世界中のすべての人々にオリンピックの原則とオリンピック憲章を守り、全アスリートに対するいじめをやめるよう言いたい」と語っている。AP通信が伝えている。「そういったいじめは人々を破壊し、人の思考や精神、心を殺すことができる。人々を分裂させる。だから私は人々にいじめを慎むようにお願いしたい」。

ヘリフ選手はカリニ選手を破った後も試合を勝ち進み、現地時間8月6日(火)に行われる準決勝に出場する。彼女はインタビューで「今回の危機は金メダルで結実するだろうし、それが最高の反応だろう」と優勝に自信をのぞかせている。さらに彼女の出場を認めたオリンピック委員会に対しても「自分を正当に評価してくれた」と感謝の言葉を述べている。

彼女は準々決勝でハンガリーのアンナ・ルカ・ハモリ選手に判定で勝利、ここでメダル獲得が確定した。この感想を尋ねられると「これはアルジェリアの女子ボクシングにとって初めてのメダルになる。とても嬉しい。世界とアラブに感謝したい」とコメント、「今、とてもいい気分だ」と話していた。放送局「BBC」が伝えていた。

ちなみに物議を醸すきっかけとなった試合で対戦した、イタリアのカリニ選手はヘリフ選手に謝罪している。イタリアの新聞「ガゼッタ・デロ・スポルト」に「この物議に関して悲しく思っている。また対戦相手に申し訳ないと感じている。ヘリフ選手は(物議に)何の関係もなく、私と同じように戦うためにあの場所にいただけだ」。試合後、ヘリフ選手と握手しなかったことについて聞かれると「わざとではない。彼女に謝罪したい。試合が私にとってめちゃくちゃなものになってしまったので腹が立っていただけだ」と答えている。

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