厚生労働省による生活習慣病予防のための健康情報サイト「e-ヘルスネット」によると、生活習慣病とは、食事や運動、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣が深く関与し、それらが発症の要因となる疾患の総称のこと。日本人の死因の上位を占める、がんや心臓病、脳卒中も、生活習慣病に含まれているという。

【写真】「完全栄養食」とも言われるほど栄養価が高い卵が忙しい現代人を救う!?

生活習慣病の予防のためには、健康的な生活を心がけたいところ。そこで今回は「食事」に焦点をあて、どのような食事を摂ったり、どのような食生活を送ればいいのかを「認定栄養ケア・ステーション食さぽ」の代表で管理栄養士の西山愛さんに話を聞いた。

「認定栄養ケア・ステーション食さぽ」の代表で管理栄養士の西山愛さん

■とにかく「栄養バランスのいい食事」が大事!

西山さんに、生活習慣病予防のために気を付けたい食事や食生活のポイントを4つ教えてもらった。

1.基本は「バランスのいい食事」

【西山】1食に、ご飯やパンなど炭水化物の主食、肉や魚などのタンパク質がメインの主菜、ビタミンやミネラルなどを含む、野菜やキノコ・海藻などの副菜が並んでいるのがベストです。これらがそろっていれば、自ずと栄養バランスがよくなってきます。

忙しいときに食事をコンビニで買う方も多いと思います。今は、カップに入った野菜のおかずの種類が豊富ですよね。たとえば、おにぎり(炭水化物)と唐揚げ(タンパク質)を選んだ場合、野菜系のおかずから2種類くらい選んでプラスするといいと思います。おかずを選ぶ際は、ビタミンが豊富な緑黄色野菜やミネラルを含む海藻が入っているものなどを選ぶといいでしょう。

おかず1品を、カップのわかめ入り味噌汁などにしてもOKです。ただ、カップ味噌汁の場合は具が少ないことも多いので、お湯を入れる際に乾燥わかめを足すのがおすすめです。乾燥わかめは、普段の料理にもかなり使えるので、ストックしておくといいでしょう。

「お味噌汁などで具材が足りないときに、乾燥わかめを入れると栄養もプラスされていいですよ」と西山さん

また、「忙し過ぎていろいろなものを食べられない!」というときは、おにぎりと卵(ゆで卵)に野菜ジュースという組み合わせもアリです。卵は、食物繊維とビタミンC以外の栄養素が含まれている優秀な食材です。野菜ジュースを選ぶ際は、糖分や塩分を加えていない無添加のものを選びましょう。

【写真】「完全栄養食」とも言われるほど栄養価が高い卵が忙しい現代人を救う!?

2.「旨味」を上手に取り入れて減塩を!

【西山】たとえば味噌汁だったら、シイタケや油揚げなど旨味が出る食材を使うと、味噌を使う量が減り、減塩につながります。味噌汁を作る際にだしパックや顆粒だしを使う方も多いと思いますが、塩分が気になる方は、塩分が入ってないものを選ぶといいでしょう。

シイタケや油揚げなど、旨味が出る食材を積極的に活用して減塩を

また、旬の食材を積極的に使うのもおすすめです。旬のものには旨味がたっぷりあるので、素材のおいしさを活かした調理をすると減塩にもつながります。

3.「食べ過ぎない、偏り過ぎない」にも気を付けて

【西山】もちろん、食事を摂り過ぎるというのは体によくありませんが、「○○病にはこれが効く!」という偏った(自分にとって都合のいい)情報だけを信じて、そればかり食べる…というのもNGです。客観的に食生活を振り返って、摂り過ぎているものがないか…というのも日ごろからチェックしていただきたいですね。

4.「食べない」はNG!

【西山】健康診断の結果を受け「ダイエットをしましょう」と言われた方が、「食べなければいいんでしょ」と極端な行動を取るケースも多くあります。これまで、そういった方の栄養指導をたくさんしてきました。ですが、「食べない」は逆効果であるということを知ってほしいです。

また、血糖値が気になる方は「果物を食べてはいけない」と思われているかもしれませんが、糖尿病の食事療法では果物は食べてはいけないものではありません。ビタミンや食物繊維の供給源として、適量であれば食べて大丈夫です。ちなみに、(多くの果物に含まれている)食物繊維は血糖値の上昇を緩やかにする働きもしてくれます。

■朝食にも間食にも!「キウイとヨーグルトのカプレーゼ風」

朝食の1品として、また間食にもぴったりな手軽に作れる栄養満点のレシピを西山さんに教えてもらった。「10種の栄養素があるキウイフルーツに、タンパク質(ヨーグルト)を合わせています。ヘルシーだけど、栄養素がギュッと詰まった簡単レシピです。塩分や脂質が少ないので生活習慣病全般の予防という点でもイチオシ。高血圧が気になる(塩分を摂り過ぎの)方には、塩分を排出してくれるカリウムが含まれているキウイを使っているのもポイントです。糖質が少ないので、血糖値が気になる方にもおすすめです」(西山さん)。

「キウイとヨーグルトのカプレーゼ風」はミネラル豊富な黒蜜をかけると、よりパワーアップ!

【材料】(1人前)

キウイフルーツ 1個、水切りヨーグルト 1/3パック分(350〜400グラムのヨーグルトで作成)、黒蜜 大さじ1/2

【作り方】

1.ヨーグルトをキッチンペーパーを敷いたザルに入れ、水切りをする。

(朝食で食べる場合は前夜に、3時のおやつで食べる場合は朝に仕込めばOK)

2.ある程度水切りできたら、棒状にキッチンペーパーでくるみ、さらに水切りをする。

3.キウイをスライスする。しっかり水切りできたヨーグルトをスライスし、キウイと交互に皿に並べる。お好みの量の黒蜜をかける。

【栄養素】

エネルギー 127キロカロリー、タンパク質 4.9グラム、炭水化物 23.2グラム、ビタミンC 61ミリグラム

「キウイとヨーグルトのカプレーゼ風」は、暑いこの時季、しっかり冷やすと特においしい!簡単でおいしいメニューを取り入れながら、バランスのよい食事を心がけて生活習慣病を予防しよう。

取材・文=矢野 凪紗

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