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接客業をしていると、理不尽なクレームに遭遇することもあるものです。そんな時、どう対応したら良いのか、新人時代は特に悩んでしまいますよね。今回は筆者の友人が実際に体験したエピソードをお届けします。
接客中にトラブル発生
雑貨店で働き始めて3ヶ月。まだまだ新人の私は、慣れない接客に戸惑う毎日です。
ある日、私がレジに入っていた時に騒ぎが起きました。
50代くらいの派手な色のスーツを着た女性が、レジにティーカップを持ってきて指差しながら、「これ、不良品じゃないの!?」と大きな声で文句を言ってきたのです。
ベテラン店員の助け舟
あまりの剣幕に私は驚いてしまい、「も、申し訳ありません!」とオロオロするばかり。
すると、ベテラン店員のAさんがすぐに駆けつけてくれました。
「お客さま、どうなさいましたか?」とAさんは落ち着いた様子で女性に尋ねます。
「最初からヒビがあったのよ! おたくは不良品を並べるの?!」とさらに声を荒げる女性。私はハラハラしながら見守ることしかできませんでした。
突然クレーム客を褒め始め?!
Aさんはティーカップを手に取り、じっくりと眺めた後、「確かに小さなヒビがありますね……申し訳ございません。すぐに新しいものと交換させていただきます」と謝罪しました。
そして、新しいティーカップを探しながら、こう言ったのです。
「お客様、いつもお越しいただいてありがとうございます。実は私、いつもお客様のセンスにハッとさせられていたんです! このカップも、淡いブルーの色合いと繊細な模様がお客様のエレガントな雰囲気にぴったりですよね。さすが、お目が高いです!」
予想外の展開に……
私は内心「えっ?」と思い、クレームをつけているお客様にそんなことを言って大丈夫なのかな? と不安になりました。
Aさんはさらに、「お客様のような洗練されたセンスをお持ちの方には……実は、このシリーズ、大変人気で残り少なくなっているんです。今日ご覧いただけてラッキーでしたね」と、さりげなく別の商品の魅力もアピールし始めました。
すると、女性客は「あら、きれい♡ じゃあこっちも一緒にいただこうかしら?」と笑顔で会計を済ませ、「ありがとうね!」とAさんに言って店を出て行きました。
時には相手のプライドをくすぐったり、共感したりすることで、状況を丸く収めることができるのだと、Aさんの鮮やかなトラブル対応を目の当たりにして学んだ出来事でした。
【体験者:20代・女性、回答時期:2024年12月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。