ホラー映画を愛する松本穂香「音響も怖い、色調も怖い、画角も怖い」あまりの恐怖に思わず笑った怪作

 数々の映画やドラマに出演している女優の松本穂香さん。大の映画好きでもあるという松本さんが凶悪なシリアルキラー役をニコラス・ケイジが演じ、全米で話題を集めたサスペンススリラー『ロングレックス』について語ります。

◆ニコラス・ケイジの怪演に戦慄する最新作

 今回、わたしがご紹介させていただくのは、ニコラス・ケイジ主演のホラー映画『ロングレッグス』です。

 舞台は1990年代半ばのオレゴン州。新人FBI捜査官のリー・ハーカーは並外れた直感力を買われ、未解決連続殺人事件の担当に抜擢される。

 現場には侵入の痕跡はなく、あるのは“ロングレッグス”という署名付きの暗号文のみ。事件を追い求める中でハーカーが見つけた、ロングレッグスと自分との、ある接点とは……。

◆洋ホラーのオシャレさと邦ホラーのジワ怖がミックス

「この10年でいちばん怖い映画」という評価を見て、「これは絶対に観たい!」と楽しみにしていた映画だったのですが、観て納得。

 開始5分でその怖さに思わず笑ってしまいました。音響も怖い、色調も怖い、画角も怖い。ホラー映画特有の、“何か起こりそう”な感じが常に漂っていて、緊張感とワクワクが止まりませんでした。

 オカルト要素が存分にありつつ、そこにFBIや謎解き要素なども加わり、洋ホラーのオシャレさと邦ホラーのジワ怖がミックスされたような面白さ。

 そして、なんといってもニコラス・ケイジの圧倒的な存在感! 本能的に眉をひそめてしまうような嫌悪感がそこにありました。

◆正体がわからないからこそ不気味で恐怖

 何を考えているか終始わからない演技。本気で涙を流し、心の底から喜ぶ姿が恐ろしくてたまりませんでした。役の目的が見えない芝居はあんなにも不気味なんだと、同時にとても勉強になりました。

 鑑賞後も、「あの場面って結局?」「あのセリフの意味って何だったんだろう?」と、たくさんの疑問を残していく映画でした。正体がわからないからこそ、不気味であり、恐怖に繋がるのがホラーの面白さだなと、改めて思わせてくれる映画でした。

 あ〜〜、もう一回映画館でちゃんと観たい! ひとりで観る勇気はないので、公開までにホラー好きの友達を作って観にいきます! 皆さまも映画館でぜひ!

●『ロングレッグス』
配給/松竹 公開中 ⓒMMXXIII C2 Motion Picture Group, LLC. All Rights Reserved.
<文/松本穂香>

【松本穂香】
1997年2月5日生まれ。大阪府出身。2015年『風に立つライオン』で長編映画デビュー。2017年連続テレビ小説『ひよっこ』に出演して注目を集め、2018年にはTBS日曜劇場『この世界の片隅に』で主演に抜擢。2023年、映画『“それ”がいる森』で日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。2024年10月期月9ドラマ『嘘解きレトリック』では鈴鹿央士とともにW主演を務めた

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