ポール・スミス(Paul Smith)の2025-26年秋冬コレクションが、2025年3月19日(水)、東京・上野の東京国立博物館 表慶館にて発表された。
ポール・スミスが14年ぶり東京でのショー開催
設立55年目を迎えるポール・スミスが東京でショーを開催するのは、2011年に日本で初めてのショーを開催して以来14年ぶり。今回は、1月に発表された2025年秋冬メンズコレクションにウィメンズを加えてのランウェイとなった。
写真家にインスパイア
幼い頃から写真に親しみ、多くの写真家や自身が撮影する作品から発想を広げ、コレクションへと昇華してきたデザイナー ポール・スミス。今季はフォトグラファーの作品とその人生に着目している。
中でも、写真に触れながら育ってきたポールに大きな影響を受けた父、ハロルド・B・スミスによる野生のデイジーを映した作品「フィールド フラワー(Field Flower)」は、コレクションの核として繰り返し登場。「父はとても観察眼に優れていた」と語るポールは、普通の人では見逃してしまうほどの細かな点も映し出す、ハロルドの繊細さが感じられるプリントを、ジャケットやシャツ、ネクタイ、上品なドレスにあしらった。
もう1人の写真家として、ポールは自分自身にも目を向けた。東京でのショー開催にあたり、自らが撮影した蘭の花をモチーフに、色鮮やかなグラフィックプリントとしてコレクションに散りばめている。ナチュラルなドレープ感が特徴のレーヨン素材を用いたシャツやジャケットなどにあしらい、「フィールド フラワー」と共にコレクションにフラワリーなムードを漂わせた。
素材やスタイリングでみせる意外性
ブランドならではのエレガントなテーラリングには、意外性のある生地を採用。コーデュロイで仕立てたシングルジャケットとスラックスのツーピースがその好例だ。伝統的なテーラリングの技術を用いつつ、温もりのあるテクスチャーでカジュアルミックスさせている。加えて、さりげない柄の組み合わせも、コレクションに新鮮さを付与。例として、シグネチャーストライプのニットとクラシカルなチェック柄スラックスのスタイリングが挙げられる。
今季加わったウィメンズのテーラリングは、あくまでメンズのシルエットで仕上げたハンサムな表情に。肩パッド入りのスマートなシルエットで、レザージャケットやスラックス、グレンチェックの生地を重ねたカラーが目を引くトレンチコートなどが展開された。また、グレンチェックのジャケットは、バックスタイルにボタンを連ねた大胆な仕立てとなっている。
バブアーとのコラボジャケット
ポール・スミスと同じくイギリスにルーツを持つブランド、バブアー(Barbour)とのコラボレーションも必見。バブアーを象徴するオイルドジャケットをベースに、チンストラップに鮮やかなオレンジやレッドカラー、サイドベンツ部分にシグネチャーストライプをあしらった。ハロルドの細部を捉える眼差しを踏襲したかのように、細かなところにまでこだわりを詰め込んでいる。
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