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timeleszの3人が、共に歩む仲間を探す「timelesz project」(通称・タイプロ)。最終審査から一夜明け、スタートからの10か月を振り返る、菊池風磨さんのロングインタビューをお届けします。(初出は『anan』2437号・3月5日発売号)
菊池風磨「タイプロにぶつかってくれた計り知れない勇気に感謝」
――まずは新メンバーが決まって一夜明けた現在の気持ちを。
まだあんまり実感湧いてないですね。早速レコーディングをしていますけど、とにかく楽しい。選考にあたって、一緒にいたら楽しく高め合える仲間を探すことにこだわってきたので。やっぱり、楽しい人たちを見ていたいじゃないですか。俺の理想って「楽しい人たち」なんです。グループだから、ここから先に揉めることや口数が減るタイミングもあるだろうし、波はあると思うんですよね。そんな時でも、この10か月間にあれだけ向き合ったことを思い返して、腹を割って話せたらいいなって。「もう、この時間は戻ってこない」というのは、この10か月間で学んだことのひとつ。グループ審査で「このメンバーでやれるのは、最後なんだよ」と候補生に言ってきたことは、僕らにも言える。一発目のデビューではそれを理解できてなかったのが反省する部分でもあるし。今回ほんとにいい仲間に出会えたなかで、今の経験値と頭のままで14年前に戻っていると考えれば、やれることはいくらでもある。グループのありがたみがわかってなかったあの時の俺がした失敗や後悔のない、みんなでいてほしいので、ちゃんと伝えていきたい。
――最終審査では候補生と一緒にパフォーマンスもされましたね。
これまで以上に彼らに対するリスペクトが生まれました。候補生8人全員、“こいつのここ、カッコいいな”ってところがあるわけですよ。勉強になる部分もたくさんあって、すごく刺激的なパフォーマンスでした。そうすると、メンバーの良さもまた違う角度から見えてきたりして。グループで10何年もやっていると、お互いに相手の動きが予想できるわけだけど、それをいい意味で壊してくれる面白さもあるのが、わかりました。
――「どうシミュレーションしてもこのプロジェクトはうまくいくしかない」と当初からおっしゃっていて、実際に社会現象ともいえる大成功を収めました。それでも、想定外の事態はありましたか?
8人組になったこと。このプロジェクトは、これだけ一生懸命で想いの強い候補生たちがいれば、応援してもらえるきっかけになると思っていましたし、ネガティブな意見があっても絶対にひっくり返せる自信もあった。でも、これだけは想定してなかったです。
――連載初回では「基準は5人」とおっしゃっていました。
そう、奇数なのかなと思っていた。ただ、Sexy Zoneは5人ってことにとてもこだわっていたグループだからこそ、5人はちょっと違うのかなと。7かなと勝手に思っていましたけど、6から11でうろちょろしている感じでした。途中からSexy ZoneのSとZのロゴが8に見えるから、それも面白いなと。これも何かを暗示していたのかな。でも、奇数だとセンターがあってカッコいいとか、フォーメーションを組みやすいという自分たちの概念より大事なことがあるなと思わせてくれたメンバーに出会えた。これは胸張って言えます。
――これまで出会ってきた候補生の方たちに伝えたいことは?
とにかく素敵だったし、カッコよかったですし、尊敬する部分もたくさんあって、正直、俺らより凄かったと思います。(櫻井)翔くんも最終審査でおっしゃっていましたけど、この時代に、しかもこの注目度の高いものに実名でぶつかってくれたことの勇気は計り知れない。それは俺らが一番近くで見ていて、誰よりも感じていて。その心意気に本当、感謝したいと思っています。だから、メンバーになれなかったから自分はダメだったとは思ってほしくないですし、胸を張ってこれからの道を歩んでほしい。
――このプロジェクトを通して、3人の絆も深まったと思います。どんな時に、そう感じましたか。
なんでも話すようになったことかな。タイプロのことで膝突き合わせて話すのが当たり前になってきて、今までは照れくさくてできなかったことも積極的にやるようになったし。コミュニケーションが増えたので意識が変わりました。
――松島(聡)さんが「新メンバーが入った先も、どんなことがあっても、まずは二人が居やすいと思うかどうかを大事に話して決めていきたい」と言ってくれるメンバーもいたとおっしゃっていました。
そうですね。タイプロのそもそものスタートは、それ。自分が年上で歴も長かったのに、デビュー当時は本当に大変な思いをさせた。Sexy Zoneは初速からもっと行けると思っていたんですけど、それがうまくいかなかったのは自分のせいでもあると自戒している。それでも今まで一緒にやってくれていた二人への感謝や、返していかなきゃいけないことが山ほどあるので、僕は3人でずっとやっていきたいなと思っている。そのためには今のままじゃダメだなと考えて立ち上げたのが、このプロジェクト。それは僕の中で一本、芯が通っていて、メンバーを選ぶにもメンバーが入ってきても、まず二人がどう思うか。そこをブレさせちゃいけないというのはある。だからといって、二人と5人に優劣をつけるわけじゃなくて、また違った思い入れですよね。5人ともこれから絆が生まれていくし、それは5人も理解するところだと思う。
――タイプロをやると決めた時の自分に声を掛けるとしたら?
「何も間違ってない。そのまま進め!」
――まさに、その言葉どおりでしたね。タイプロが進むにつれて、候補生の方たちやメンバー、タイプロそのものへの視聴者の愛が高まっていくのを感じました。
この人たちはこういう気持ちでこの仕事に向き合っていたんだとか、意外にこんな熱い一面あるんだとか。それはタイプロを通して知ってもらえた部分なので。新メンバーも裏でオーディションをして発表するんじゃなくて、全部見せちゃう。それは僕らからしたら手の内を晒すことだとは思っていたんですよ。なぜならば、このパフォーマンスはこういう気持ちから来ているんだよとか、そういうことは見せないほうがカッコいいと思っていたし。でも、全部見せながら、候補生たちの強い想いや、揺れ動く感情を見てもらって、新メンバーとして迎え入れるほうが、みんなも新メンバーを応援しやすいと思ったし。それにこのプロジェクトを立ち上げた想いとしては、手の内を晒すことで僕らの向き合い方をちゃんとお見せするというのもあります。もっと言うと、うちの会社はこういう良いとこがあるんですよとか、実はこういうところが泥くさいですよとか。先輩方も含めて実はあんまり見せたくなかった部分でしょうけど、今だからこそ、それを僕らというフィルターを通してお見せすることで、先輩たちが教えてきてくれたことは、こういうことなんじゃないかというのは、容易に想像していただけると思う。この会社の良さが少しでも伝わったんじゃないかと思うと、このプロジェクトをやってほんとによかったなと思います。でも、これも今までのこの会社の軌跡があったからできたことで、それを俺らがこのタイミングでやれただけ。だからこそ、それを恩返ししていきたい。先輩たちが僕らを飯に連れていってくれた時に、“じゃあ、これ、後輩に返していけよ”と言ってくれるのを、この活動にも置き換えて。後輩たちにもそういう説得力を持たせられるような活動を僕らもしていかなきゃいけないし、後輩たちの道が広がるようなことをこれからも模索し続けたい。それが僕らのこの会社への恩返しの仕方なのかな。それは忘れずに念頭においていきたいと思っています。
菊池風磨さんへのインタビューはほかにも! #ananでタイプロ
2次審査で・前編〜「最後のチャンスをこのチームになら懸けられると思いました」2次審査で・後編〜「このプロジェクトにアイドル人生を懸けている」2次審査を終えて〜「少しずつでも僕らのtimeleszにかける想いを受け取ってもらえたらと思います」5次審査で〜「僕らもどんどん汗をかかなきゃいけないなと思ってる」PROFILE菊池風磨(きくち・ふうま)
1995年3月7日生まれ、東京都出身。現役アイドルが新メンバーをオーディションで選ぶという前代未聞のプロジェクトを提案。5次審査での号泣からも候補生への愛がうかがえた。
INFORMATION『timelesz project‐AUDITION‐』
timeleszの3人が、共に歩む仲間を探す「timelesz project」にNetflixが密着し、世界独占配信中の番組。公式YouTubeチャンネルでは、オーディションの裏側『timelesz Behind The AUDITION』を公開しているほか、Instagram(@timelesz_project)やTikTokでも限定コンテンツが続々。
写真・くさかべまき 取材、文・杉谷伸子
anan2437号(2025年3月5日発売)より