森田剛主演『劇場版 アナウンサーたちの戦争』の公開日が8月16日に決定。TOHOシネマズ 日比谷ほか全国で公開される。

報道は“真実”ではなかった。
今の時代にこそ伝えたい、
知られざるアナウンサーたちの苦悩と葛藤

 太平洋戦争では、日本軍の戦いをもう一つの戦いが支えていた。ラジオ放送による「電波戦」。ナチスのプロパガンダ戦にならい「声の力」で戦意高揚・国威発揚を図り、偽情報で敵を混乱させた。そしてそれを行ったのは日本放送協会とそのアナウンサーたち。

 本作は、戦時中の彼らの活動を、事実を基に映像化し、放送と戦争の知られざる関わりを描く。

 森田剛が演じる本作の主人公・和田信賢とは、戦前から戦後にかけて活躍して国民的人気を誇り「不世出の天才」と言われた伝説の名アナウンサー。戦前には相撲・野球の実況や文芸作品の朗読などで名をあげ、ニュース、芸能番組でも大活躍した自称「フルコースのアナウンサー」。

 太平洋戦争では館野守男アナ(高良健吾)とともに開戦臨時ニュースと終戦玉音放送の両方に関わり、終戦直後に退職。その後、嘱託アナとして復帰し活躍した。ヘルシンキ五輪の実況を終え、パリで客死する。

 和田を演じた森田は「和田さんは、とにかく調べて自分の言葉で表明する人だったので、そこにすごく魅力を感じた。僕らの仕事にも通じると思った」と語っている。

 招魂祭とは、死者の魂を招きよせ弔う儀式で、靖国神社では戦没した軍人、軍関係者を御柱(神)として合祀する大祭で行われた。明治以来、大祭はほぼ春に行われていたが、日中戦争勃発後戦没者が増え、1938年(昭和13年)からは秋にも行われるようになった。

 昭和15(1940)年2月、厳粛な国家行事での静寂の中、和田は全国放送の中「母さん、元気かい――」と語り掛ける。当時アナウンサーに求められたのは、原稿を力強く読み、国民の戦意高揚に貢献すること。しかし、その声からは、民衆を熱狂させる「声」とは真逆の、温かい、市井の人々に語り掛ける実況だった。和田が届ける声の先には、電気屋に集まりラジオを聴いている人々、静かに耳を傾け、涙を流し聴いている者、戦死した息子の遺影を抱えて悔しそうな人の姿が映し出される。

 和田は「虫眼鏡で調べて、望遠鏡でしゃべる」と話していたという。招魂祭の放送を担当するにあたっては、和田は遺族を綿密に取材し、全国民にその遺族の想いを届ける様に語り掛けたのだった。演出の一木は 「『招魂祭』での囁くように民衆へ語りかける言葉について、森田さんは絶対にはまるだろうと確信を持っていました。舞台で張ったときの声の通り方や、ラジオで話す時のまさにあなたにだけ話していると思わせる甘い声。さらに森田さんが本来持っている朴訥とした雰囲気とか、そういったものが和田さんにはまると思ったんです」と振り返っている。

森田剛
橋本愛 高良健吾 安田顕
浜野謙太 大東駿介 水上恒司 藤原さくら 中島 歩 渋川清彦
眞島秀和 降谷建志 古舘寛治 小日向文世

脚本:倉光泰子 音楽:堤裕介
制作統括:新延明 プロデューサー:城谷厚司 林啓史
撮影:佐々木達之介 照明:水村享志 美術:山口類児
取材:網秀一郎 大久保圭祐 録音:高山幹久 音響効果:最上淳 編集:松本哲夫 映像技術:齋藤佑樹 VFX:髙﨑太介 
美術ディレクター:川村裕一 衣装:竹林正人 ヘアメイク:山田容子 装飾:三代川昭彦 持ち道具:小澤友香
制作担当:蓮見昌寿 助監督:長尾楽 脚本協力:山下澄人
演出:一木正恵
テレビ版制作著作:NHK 製作協力:NHKエンタープライズ 
製作・配給:NAKACHIKA PICTURES 2024年/日本/113分/カラー/ビスタサイズ/5.1ch 
公式HP:https://thevoices-at-war-movie.com
公式X&TikTok: @voice_is_at_war

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