世界最大級のこどものためのクラシックの祭典『こども音楽フェスティバル 2025』が、ゴールデンウィークにサントリーホールで開催!国内外の第一線で活躍する多数のアーティストを迎え、様々な年齢のこどもたちにあわせたバラエティ豊かなプログラムをお届けするこのフェスティバルは、“こころ はずむ ひびきあう”という言葉とともに、音楽に触れる感動と、音楽を分かち合う歓びをこどもたちに伝えていく。
フェスティバルの公演を紹介する連載第5弾は、『ぱんだウインドオーケストラ Presents ファンタスティック! こぱんだウインズ』をフィーチャーする。
「ぱんだウインドオーケストラ」は上野耕平(サクソフォーン)がコンサートマスターを務め、Creation(芸術性)、Entertainment(エンタメ性)、Education(教育)を3つの軸として音楽界に新風を吹き込んでいる吹奏楽団。2011年に東京藝術大学の1年生が集まって「吹奏楽で私たちにできることがもっとある!」という熱い思いを胸に結成され、メンバーたちはいまや日本を代表する名手へと成長した。大編成の活動だけでなく、室内楽編成による「こぱんだウインズ」としても活動しており、今回は7人の精鋭たちがサントリーホールに集結する。

今回の公演は、アンサンブルの楽しみもさることながら、6人それぞれのソロ演奏をたっぷりお聴きいただけるところが大きなポイント。コンクールの課題曲などでも取り上げられ、それぞれの楽器の奏者にとってはおなじみの曲たちがプログラムに並ぶ。学校の部活で吹奏楽をやっている中学・高校生にとっては、憧れの存在であるトップ・プレイヤーたちがお手本のような演奏を目の前で披露してくれるとあって注目度が高そうだ。
ソリストと演奏曲をダイジェストでご紹介していこう。

鶴田麻記(トランペット)、山下純平(トロンボーン)
まずはトランペットの鶴田麻記による、アーバンの「〈輝く雪の歌〉による変奏曲」より。鶴田は第84回日本音楽コンクール第2位、第33回日本管打楽器コンクール第2位などを受賞し、2017年から札幌交響楽団副首席トランペット奏者を務めたのち、東京に拠点を移して活動している。トランペット奏者のバイブル『アーバン金管教則本』で知られるアーバンだが、この作品でもテーマとなるメロディの美しさと、その後に続く変奏の鮮やかな技巧が耳を惹きつける。
トロンボーンの山下純平による、ダヴィッドの「トロンボーン小協奏曲」変ホ長調 作品4 より 第1楽章。山下はベルリン ハンス・アイスラー音楽大学、ヴュルツブルク音楽大学で学び、海外のオーケストラでも活動している。メンデルスゾーンの親友でもあった作曲家、ダヴィッドがゲヴァントハウス管弦楽団のバス・トロンボーン奏者のために書いた「トロンボーン小協奏曲」は、初期ロマン派を代表するトロンボーン作品として名高い。

芝 宏輔(テューバ)、佐藤采香(ユーフォニアム)
テューバの芝宏輔による、レベデフの「演奏会用アレグロ」より。芝は第30回市川市文化振興財団新人演奏家コンクール管楽器部門優秀賞受賞、第31回ヤマハ管楽器新人演奏会金管楽器部門などに出演している。「演奏会用アレグロ」はロシアのテューバ奏者、教育者、作曲家として知られるレベデフが1949年に作曲したテューバとピアノのための作品。
ユーフォニアムの佐藤采香による、スパークの「パントマイム」より。佐藤は第32回日本管打楽器コンクール第1位、第3回フィンランド・リエクサ国際コンクール第1位など国内外での優勝や入賞を重ねてきた名手であり、ぱんだウインドオーケストラの中核メンバー。イギリスの作曲家、スパークが1986年にユーフォニアム奏者からの委嘱で作曲した「パントマイム」は、叙情的なメロディでの豊かな響きや、軽快なパッセージでのテクニカルな指回しなど、ユーフォニアムのさまざまな表情を見せてくれる。

濵地 宗(ホルン)、高橋優介(ピアノ)
ホルンの濵地宗による、グラズノフの「夢」作品24。第86回日本音楽コンクール優勝、第10回チェジュ国際管楽器コンクールにて日本人ホルン奏者初の国際コンクール優勝者となった濵地は、神奈川フィルハーモニー管弦楽団首席奏者を経て、現在は群馬交響楽団首席ホルン奏者を務める。ロシアの作曲家、グラズノフがホルンとピアノのために書いた「夢」は、白昼夢のようにロマンティックで甘美な曲想の作品。
そしてソロ曲の最後はサクソフォーンの上野耕平による、デュボワの「組曲形式による性格的小品集」作品77 より 第5曲〈パリジェンヌ風に〉。上野は第28回日本管打楽器コンクールサクソフォーン部門第1位および特別大賞(史上最年少)、第6回アドルフ・サックス国際コンクール第2位に輝き、クラシックと吹奏楽を両軸に縦横無尽の活躍をしている。〈パリジェンヌ風に〉はフランスの作曲家、デュボワがアルト・サクソフォーンとピアノのために書いた組曲の最終曲で、めまぐるしく移り変わる曲調が楽しい。
もちろんアンサンブル曲も盛りだくさん。ぱんだウインドオーケストラのコンサートで毎回オープニングを飾る前久保諒の「PANDASTIC!!」は、彼らのために書かれたテーマソングともいうべき作品。そのときに集まったメンバーで「PANDASTIC!!」を演奏すると、「今のぱんだ」の状態がよくわかるとのこと。
ムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」は、中村匡寿がこぱんだウインズのために書き下ろした編曲で。7人による研ぎ澄まされたアンサンブルは、どんな展覧会を見せてくれるだろうか。吹奏楽の最前線をぜひ体感していただきたい。
文=原 典子
公演情報
『こども音楽フェスティバル 2025』
【公演10】ぱんだウインドオーケストラ Presents ファンタスティック! こぱんだウインズ
<時間>開場 14:30 開演 15:00 終演 16:00(予定)休憩なし
<会場>サントリーホール ブルーローズ(小ホール)
<URL>https://www.kofes.jp/program/1560/
<出演者>
こぱんだウインズ (管楽アンサンブル)
上野 耕平 (サクソフォーン)、濵地 宗 (ホルン)、鶴田 麻記 (トランペット)、山下 純平 (トロンボーン)、佐藤 采香 (ユーフォニアム)、芝 宏輔 (テューバ)、高橋 優介 (ピアノ)
<演奏予定曲>
前久保諒:『PANDASTIC!!』
アーバン:「輝く雪の歌」による変奏曲 より (トランペット・ソロ)
ダヴィッド:トロンボーン小協奏曲 変ホ長調 作品4 より 第1楽章 (トロンボーン・ソロ)
レベデフ:演奏会用アレグロ より (テューバ・ソロ)
スパーク:『パントマイム』より (ユーフォニアム・ソロ)
グラズノフ:『夢』作品24 (ホルン・ソロ)
デュボワ:『組曲形式による性格的小品集』作品77 より 第5曲「パリジェンヌ風に」 (サクソフォーン・ソロ)
トラディショナル:「アメイジング・グレイス」
ムソルグスキー:組曲『展覧会の絵』より
<全席指定・税込>
こども(小1~19才) 1,000円
保護者(20才以上) 3,000円
【オンライン配信】
無料
◆日時:2025年5月3日(土・祝)~6日(火・休)の4日間
◆会場:サントリーホール<東京都港区赤坂>およびアーク・カラヤン広場
◆出演:清塚信也、角野隼斗、鈴木優人、チョコレートプラネット、福尾誠、多久潤一朗、池村碧彩、高見侑里ほか
◆公式WEBサイト:https://www.kofes.jp/
◆公式YouTube「子どものためのクラシック」(ソニー音楽財団):https://www.youtube.com/channel/UCjtxBdsKe5RBSgcqTj_SL0A
◆主催:公益財団法人ソニー音楽財団
公益財団法人サントリー芸術財団 サントリーホール
【こども音楽フェスティバル 2025】清塚信也よりメッセージ動画到着!
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