宮根誠司氏が司会を務める「Mr.サンデー」(フジテレビ)で、中居正広氏から性加害された元フジテレビアナウンサーへの「二次加害」ともとれる発言が相次いだ。元民放のプロデューサーである影山貴彦さんは「放送内容を見て驚いた。宮根氏を始めとするテレビ関係者こそが、言っていいことと悪いことを区別できていない実態が明らかになった」という――。
調査報告書公表の6日後に放送された「Mr.サンデー」が炎上
4月6日に放送された「Mr.サンデー」(フジテレビ)での“二次加害”発言が、窮地にあるフジテレビをさらにどん底に陥れている。
中居正広氏による性暴力に端を発したフジテレビ問題について、3月31日、第三者委員会は394ページに及ぶ調査報告書を発表。同番組ではその報告書の内容について、MCの宮根誠司氏と6人のゲスト、元フジテレビアナウンサー・長野智子氏、橋下徹氏、古市憲寿氏、中野円佳氏、石戸論氏、後藤達也氏が討論したのだが、そこで被害者A子さん(元フジテレビアナウンサー)に対する二次加害と思える発言が連発された。
その引き金は宮根氏のこんなフリだった。
「アナウンス部の人たち全部が接待要員だとか、上納されるとか、そういう見方は視聴者の方にはぜひここは違うんだというのをね、僕は思っていただきたくて。みんなプロフェッショナルとして頑張ってらっしゃる」(宮根氏)
「ほとんどのアナウンサーは真面目に真摯にそういうこと(中居氏に自宅に誘われるなど)にもイエス・ノー言えて毅然としてきちんとやっている」(長野氏)
長野氏は「私、嫌だったら行かないと思うんですけど」、「この問題点って、女性アナウンサーでもいろいろいるので。私みたいなのもいるわけですよ」ともコメントした。
「Mr.サンデー」公式Instagramより
「ほとんどのアナウンサーは被害者と違う」という二次加害
古市憲寿氏は「実際、そこ(調査報告書の「性暴力」認定)は真相がわからない。それが本当にレイプのようなものだったのか。それともセクシャルハラスメントみたいなものだったのか。本当にわからない」と問題を矮小化。宮根氏と橋下氏は以下のような論点ずらしも行った。
「これが業務の一環だという認定はいいのですが、じゃあ何が業務とプライベートの区分けをするのかが見えなければ、日本の社会はみんな“行くな”になってしまいます」(橋下氏)
「僕が藤本さん(司会の藤本万梨乃アナウンサー)をプライベートで誘いましたと。プライベートの話をしている最中に、途中で仕事の話になりましたと。それは業務なのかプライベートなのかって話になってきますよね」(宮根氏)
「トラブルが生じて全部社が責任を負わなきゃいけないんだったら『会うな』と……(以下略)」(橋下氏)
さらに宮根氏は「もっというと、フジテレビ内の社内恋愛はこれから成立しないってことですよね?」「私がやしきたかじんさんに誘われたのは業務の延長ですかね?」と悪質な冗談まで言ってのけたのだ。
これらの発言で番組MCやコメンテーター、番組スタッフは何が「二次加害」に当たるのかを理解していないことが明らかになった。テレビメディアのこうした認識のズレはなぜ生じるのか。
元MBS毎日放送のプロデューサーで、同志社女子大学メディア創造学科の影山貴彦教授に聞いた。
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