『百年の夢 デジタル・リマスター版』が2022年12月3日(土)〜シアター・イメージフォーラムにて公開される。

『百年の夢』は1972年、共産党政権下のスロヴァキア共和国で製作されたが、完成後、16年間の長きに渡り、当局により輸出禁止とされていたドキュメンタリー映画。

 禁止が解かれた直後1988年に、ニヨン国際映画祭グランプリをはじめ、ライプツィヒ国際映画祭ドン・キホーテ賞と国際批評家連盟賞受賞、香港国際映画祭など世界各地の映画祭で上映された。日本では、1989年に「第1回山形国際ドキュメンタリー映画祭」にて特別招待作品として上映され、3年後の1992年5月に劇場公開され、話題となった。今回は待望のデジタル・リマスター版での公開となる。

 カルパチア山脈の東側、スロヴァキア南西部のファトラ山地。この痩せた土地で、厳しい自然条件や孤独と闘いながら、農業や羊飼いを生業として暮らす70歳以上の老人たち。からくり人形作りに熱中する男性。事故で歩けず25年間膝を使い暮らしてきた男性。めんどりに聖書を読み聞かせる男性。結核を患い、納屋で50年暮らすという農婦の姿は、いつか彼女自身の葬儀の写真に連なる。内なる自由をいきいきと生きる彼らにとっての愛や家族、夢、労働や人生の意義とは…。

 映画にはスロヴァキアの伝説の写真家であるマルティン・マルティンチェク(1913年~2004年)が、老いと死を飾ることなく捉えた40枚の写真が使用されている。マルティン・マルティンチェクは、誤った告発のために公の生活から姿を消し、弁護士から写真家へと転身して以後、写真に情熱を傾け続けたスロヴァキアの伝説の写真家。

脚本・監督:ドゥシャン・ハナーク
撮影:アロイズ・ハヌセック
音楽:G・F・ヘンデル/ヴァクラフ・ハレック/ヨーゼフ・マロヴェッチ
撮影協力:ヤン・シュワンクマイエル
スチル写真:マルティン・マルティンチェク/ウラジミール・ヴァヴレク
後援:スロヴァキア共和国大使館  公式サイト:http://www.pan-dora.co.jp/hyakunen/ ※(C)表記は必要ありません

1972年/スロヴァキア/モノクロ/67分(デジタルリマスター化により上映時間が変わりました) ドキュメンタリー
山形国際ドキュメンタリー映画祭上映タイトル:『老人の世界』

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