新型コロナウイルス感染の第4波が収まらない中、大阪市保健所では、陽性者の調査ができずに連絡が翌日以降に先送りされたケースが、4月30日には828件あったことがわかりました。

大阪府では、今年3月からの第4波で、17人が自宅療養中に症状が悪化して死亡。このうち2人は、病院などで感染が判明した後、保健所から入院先などの連絡がある前に死亡したということです。

 大阪市保健所では、4月29日の時点で陽性が判明した約900人に対して疫学調査が滞っていたことがMBSの取材でわかっています。疫学調査とは、感染が確認された患者に直接電話などで連絡をとり、症状・行動履歴・濃厚接触者を確認するものです。

 5月13日、大阪市の松井一郎市長は、“陽性者828人への疫学調査が翌日以降に先送りされた”と会見で初めて認めました。

 (大阪市 松井一郎市長)
 「確かにその時期がありました。4月30日に828件、疫学調査を1日持ち越したということです。体制を拡充して、5月12日現在、翌日に持ち越しているのが45件です」

 MBSが入手した保健所の体制図によりますと、今年1月中旬には疫学調査担当の職員は42人いましたが、大阪府の感染者が1000人を超える日が続いた今年4月中旬は31人(短期の職員など4人をのぞく)でした。関係者によりますと、その7割以上にあたる23人が今年4月の人事異動で新たに配属された職員で、このうち10人は今年春の新規採用職員だったということです。

 (記者)「新規採用された方が10人入られているということで、現場からは今まで第2波・第3波の経験ノウハウがある保健師が非常に少ないというところが、業務ひっ迫の一因となっているという声があるのですが、これについてはいかがでしょうか?」
 (松井市長)「これは、そもそも大阪市のみならず、この間に日本は長年公衆衛生環境が非常に良くなってきたので、感染症に対しての専門職というのが行政職としては採用が少なかったというのが現実問題としてあります。もっとベテランが多いほうがいいじゃないかと言われればそうかもしれないけれども、感染症に対応する組織力としては、我々としては看護師・保健師という資格を持った人の人員を拡充はしています」

 また松井市長は『4月中旬には応援職員20人を加えていた』と説明。20人のうち10人は看護師や保健師だったということです。ただし、この増員は体制図には反映されていませんでした。

 そして、この後はさらに30人~40人を増やして、実質80人~90人体制としていて、5月12日時点では連絡待ち状態の人は45人に減ったということです。

 一方、MBSの取材に応じた大阪市保健所の職員は次のように指摘していました。

 (大阪市保健所の保健師 仲間いずみさん)
 「私は4月にこちらに異動になったのですが、そのときからずっと保健所の現場としてはひっ迫した状況がずっと続いています。一定の経験と知識を持っている職員の層が必要かなと思います」

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