最大震度5弱の地震 原発処理水の放出を停止 マニュアルに沿って 福島第一原発の地震・津波対策 (24/03/15 18:45)

15日未明に福島県内で最大震度5弱を観測した地震の影響で、福島第一原発では処理水の海洋放出を一時停止した。2023年8月の放出開始以降、期間中の停止ははじめて。

3月15日・東電の会見:「水処理関係の設備につきましては、あらかじめ定められた手順にしたがいまして、運転を停止してパトロールをしてございます」

福島第一原発では、地震の発生から約20分後の午前0時33分、処理水の放出を停止した。
処理水の海洋放出は、放出前の水をためる水槽と海水面の高低差を利用して、海に流れる仕組みだ。マニュアルでは、高潮などで海面が高くなり水が逆流する恐れがある場合、設備の安全性を確認すべき場合に放出を止めることが定められている。

5つある停止条件のうち、「福島第一原発もしくは福島第二原発が立地する4町で震度5弱以上」という状況になったことから、監視員が手動で停止。このマニュアルに沿って「停止」の作業が行われるのは、2023年8月の放出開始後はじめてのことだ。
海洋放出は停止から約15時間後に再開され、4回目の放出は予定通り17日に終了する見通しだ。

東京電力によると、福島第一、第二原発ともに地震による設備への被害は確認されず、周辺の放射線量にも変動はないとしている。

<原発の地震・津波対策>
福島第一原発では、事故の後、地震と津波への対策が進められてきた。
3月15日は新たに建設された高さ最大16メートルの防潮堤が報道陣に公開された。

シミュレータ室での訓練:「実施計画16条、該当地震です。周知以上」「了解」
処理水の海洋放出を行っている時に地震が発生したらどう対応するか、福島第一原発で行っている訓練の様子だ。

地震が発生したら、ポンプの圧力やタンクの水位計などに異常がないかを確認。震度が基準を超えていなくても、安全を確認する必要があると判断した場合には、放出を停止して処理水や海洋放出に関わる設備の点検やパトロールを実施する。

津波対策も進められている。
15日、工事が完了した防潮堤。政府は日本海溝で巨大地震が起きた場合、福島第一原発を11.8メートルの津波が襲うと試算していて、これに対応するため高さ最大16メートル、全長1キロの防潮堤を整備した。
東京電力の高原憲一リスクコミュニケーターは「我々が想像しえないことは今後も発生すると思うし、それに対して備えてませんでしたでは困るのだということなので、今後もそういったことを追及し続けなければならないと」と話した。

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