「今世紀初めの日本の死生学」をテーマに、第81回アカデミー賞外国語賞・第32回モントリオール映画祭でグランプリを受賞した日本映画「おくりびと」を題材に、日本人特有の一つの死生観が北米圏の人々にどのようにして受け入れられていったのかを読み解きます。

【おくりびと(2008年製作/130分/日本)」
遺体を棺に納める“納棺師”という職業を通して、様々な死と向き合い人生をみつめるヒューマンドラマ。監督は「壬生義士伝」の滝田洋二郎、音楽を久石譲が担当。ひょんなことから納棺師の見習いとなった元チェリストの大悟は、妻の美香には冠婚葬祭の仕事とごまかして働いていた。日々とまどいながらも様々な死と出会い成長していく大悟と、それを見守る美香を本木雅弘と広末涼子が好演。第81回アカデミー賞で、日本映画史上初の外国語映画賞を受賞した。(配給:松竹)

【金山秋男プロフィール】
明治大学名誉教授、死生学・基礎文化研究所代表、国際熊野学会副代表、一般社団法人「いのちの絆」理事長、NPO法人「健康福祉実践協会」理事

1948 年 栃木県生まれ。東京大学大学院博士課程修了。患った神経症をきっかけに曹洞宗の総持寺で禅修行に入り、道元の正法眼蔵の生死の巻から死生学を研究。それを機に日本人特有の霊魂感や他界観究明の道を開き、伊勢、熊野の神話を中心とした民俗学の道が開かれる。以後、主として死生学、神話学、宗教民俗学、仏教文学の道を歩み、その成果は国際熊野学会、神社仏閣など国内外で講座を展開している。生活者の目線から発せられる易しい語り口は定評で、特に詩歌に詠まれた日本人の生老病死の受け止め方についての語りは人気を博している。著書に「生と死の図像学」「巡礼、その世界」「生と死の東西文化史」「人はなぜ旅に出るのか 」「歎異抄」編著に「古典にみる日本人の生と死」「日本人の魂の古層」監修に「親鸞聖人の教え『歎異抄』を書き写す」など。

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