「知らないうちに人の生死に関わる」“極秘作戦”風船爆弾を作った96歳の消えない後悔【報道ステーション】(2024年8月15日)

15日で終戦から79年です。長い年月が経った今でも新たな資料が発見されています。『風船爆弾』に関する新資料から見えてくるものとは。

■79回目の“終戦の日”

全国戦没者追悼式では、戦火に倒れた310万人の死を悼まれました。

天皇陛下
「ふたたび戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願い、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります」

太平洋戦争に関する新たな資料がおととし以降、立て続けに発見されています。そこに書かれていたのは『マルふ陣地の運営に関する件』。“マルふ”とは、風船爆弾のことを指します。

太平洋戦争末期、日本軍が極秘裏に進めたのが風船爆弾、通称『ふ号作戦』です。直径10メートルもの巨大な気球に爆弾などを装着。ジェット気流に乗せ、アメリカ本土を攻撃するという、無謀とも思える作戦でした。しかし、終戦直後に証拠隠滅が図られたため、詳細は不明のままでした。

■『極秘作戦』詳細が明らかに

茨城県北茨城市にはかつて、風船爆弾を飛ばした基地の1つがありました。今回、この基地の見取り図が見つかったのです。

資料を発見した松野誠也さんと共に向かった先にあったのは、直径10メートルほどの大きなコンクリートの台。これが風船爆弾を飛ばすための『放球陣地』です。

この基地に、何がどのように配置されていたのか資料から分かってきました。資料によると、放球陣地はかつて9カ所あったことが分かります。さらに、大隊本部など主要な施設も置かれ、かなり大掛かりだったことが伺えます。

なぜ、この場所が選ばれたのか。松野さんは、その意味をこう推測します。

明治学院大学 国際平和研究所 松野誠也研究員
「『防諜』といって、スパイ防止や空襲を受ける時に被害をなるべく少なくするという意味で、山や丘があるような地形を選んで(基地を)展開をしていたのでは」

風船爆弾は、ここから約9000キロ離れたアメリカ本土へ飛び立っていきました。日本から放たれた約9300発のうち、約1000発が北米大陸に到達したとみられます。生物兵器を搭載することすら、計画されていました。

■「風船爆弾を作った」96歳の証言

高橋光子さん、96歳です。女学校時代に風船爆弾作りに携わりました。

高橋光子さん
「(Q.この写真は何歳の時の写真ですか)今でいえば中学2年生(当時14)ですね。その2~3年後。風船爆弾を作るのは」

1938年に制定された国家総動員法。全ての国民は戦争のために尽くすことを強いられ、10代の少女たちも例外ではありませんでした。

高橋光子さん
「そういう時代の雰囲気に染まると、それに反対したりすることは、なかなかできないんですね」

高橋さんが行っていたのは、和紙を貼って気球の形にする作業。物資が不足するなか、水で薄めたコンニャクの粉をのりにして、和紙を何枚も貼り合わせ、強化して気球を作りました。

高橋光子さん
「(Q.当時、兵器を作っている認識はあった)はいはい、もちろん。風船爆弾が華々しく爆弾でも落としてくれたら、少しは戦争の役に立つかなという感じはしていました。戦争中はね」

しかし、高橋さんは後に悔やむことになります。

■「知らないうちに人の生死に…」消えない後悔

日本から放たれた風船爆弾の1つは、アメリカ・オレゴン州に到達しました。ピクニックをしていた妊婦や子どもらが森の中に落ちていた風船爆弾に触れたところ爆発。6人が亡くなりました。

高橋光子さん
「戦後、それを聞いた時は、戦争って自分でも知らないうちに、自分がやったことがその人たちの生死に関わることになってるんだなと思って、やっぱりつらい気がしますね」

戦争に関わったという自責の念。戦後、作家になった高橋さんは、その思いを本に残しました。

『ぼくは風船爆弾』著:高橋光子さん
「一度戦争が起これば、自分がどんなにいやで、気をつけていても、いつ被害者になるかわからないし、加害者になるかもしれないのです」

10代の少女たちを兵器作りに巻き込み、重い十字架を背負わせた風船爆弾。

高橋光子さん
「戦争だけじゃなくて色んな差別もある時に、常に自分も加害者になっているんじゃないかなということは、考えておかないといけない」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

26 Comments

  1. 馬鹿げた発想なんだけど、意外にもアメリカが情報隠す程度には効果があったんだよなぁ

  2. うひょ〜今日も元気に日本が悪かった洗脳報道が凄いぜ!!
    だったら無実の罪で戦犯されたり、原爆で街ごと壊滅されたのはどないなんや?
    あ〜これもまたコメント非表示か削除かな?笑

  3. どのメディアも結果のことばかりで戦争の原因になったこととかほとんど伝えないな

  4. 今一度、自分の行動や言動が知らぬ間に加害者、被害者を自分を含め作ってしまう可能性があることを学ばさせていただきました。ありがとうございます。

  5. なんで日本のメディアって日本人下げばかりなんだろう。国を守るためなのに。早田ひな選手の方が立派。年代の差かな?年齢層が高いにつれて、日本に対する愚痴不満ばかり。英霊に対する尊敬の念はないんですかね? 威力がどうだかわからない「風船爆弾」よりも、原爆投下や東京大空襲の方が、民間人をターゲットにした戦争犯罪なんだけど、自覚あるんだろうか?

  6. 言い方を変えれば日本は本気を出せば、広い太平洋さえこんな原始的な方法でも、アメリカまで飛ばす技術を持ってるんだよ。ただ、使い方がほんとに間違ってる。この動画ではカットされちゃったけど、この後に言ってた、「十字架を背負わせた」って。ほんとに二度とないようにしなくちゃいけない。

  7. 日本だってアメリカに風船爆弾で無差別に爆撃してたんだかお互い様だね。 50歩100歩ってことわざあるし。 やったんだからやられてもしかたない。 まぁ100歩譲って50歩100万歩くらいかな😂

  8. この程度でも悔やむものなのか。

    空襲による日本の民間人大虐殺の武器製造に関わったアメリカ人も後悔しているのだろうか? 
    してないと思うな。笑

  9. 工場で弾薬や銃を製造するのと変わらない。
    戦争なんだから当然の事。

  10. 非戦闘員を殺傷した数において彼我に桁違いの差があり話にならん。ふ号作戦の研究の余地はその珍奇性にある。
    「そういう時代の雰囲気に染まると、それに反対したりすることは、なかなかできないんですね」
    現状この「雰囲気」は逆の立場で維持されている。なんの新しい情報も無い。
    当該元女学生が心安らかに長生きされることを祈る。

  11. 風船爆弾を落としたのだから、原爆を落とされても文句は言うなよ?🎈
    アメリカは原爆を作り、日本は風船爆弾を作る。
    B29を竹槍で落とす。
    凄い時代ですね。
    今でも、知らなうちに他人の命を奪ってるなんてこともあるのでしょうね。

  12. そんなに都合良くアメリカまで飛ぶかな〜🤔🤔🤔
    気象観測のラジオゾンデじゃないの?

  13. 今も昔も産業に関わってたら規模が大きくても少なくても何かしらの形で軍や自衛隊関係のことに関わってるんだから風船爆弾だけに焦点あてるのは違うやろ

  14. 日本のメディアって敗北した2次大戦はよく触れてるけど勝利した日清、日露、1次大戦にはほとんど触れてないからもしかして負け戦ことは悔やんで次に活かすために報道して勝ち戦は戦い方を知ってるからほとんど放送しなくても今後に繋げられるからやらないのかな?

  15. ついにふ号爆弾についてメディアが話すのですね。
    炭疽菌などの生物兵器を乗せようと陸軍は動いていたけど、昭和天皇の勅令により無くなった話はとても大切。
    一方アメリカは原子爆弾を日本に投下し、無関係の一般市民を虐殺した()

  16. こういった 自虐史観 はやめましょう
    再び 戦争が起きないために 日本も責められない努力をしましょう