カナダのコンビニエンスストア大手、アリマンタシォン・クシュタールは26日、セブン&アイ・ホールディングス(HD)の創業家らが対抗して総額9兆円規模のMBO(経営者が参加する買収)を提案したものの、セブン&アイ買収の実現を引き続き目指していく考えを改めて示した。
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クシュタールのアレックス・ミラー最高経営責任者(CEO)はアナリストとの電話会議で「当社は粘り強く臨み、両社の全ての株主や従業員、主要関係者にとって最も魅力的な結果をもたらすよう友好的なアプローチを継続していく」と述べた。
同社は9月、セブン&アイへの買収案を約470億ドル(現在のレートで約7兆2200億円)に引き上げた。一方、創業家と伊藤忠、大手3メガバンクは出資と銀行融資合わせて総額9兆円規模に上るMBOの具体策に向けた検討に入っている。セブン&アイはこれらの提案に対してまだ回答していない。
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ミラーCEOはまた、「われわれは買収の原資を確保し、取引を完了できると依然確信している」と発言。「共に成長し、世界の数百万人の顧客に提供する商品やサービスを向上させる大きな機会があるとの考えを変えていない」と続けた。
クシュタールの業績にはここ1年、逆風が吹いている。厳しい経済状況を背景に、低所得層によるコンビニ店舗や給油所での支出が減っていることが重しだ。第2四半期(10月13日終了)決算は、調整後1株当たり利益が74セントと、市場予想を若干下回った。
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ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の金融アナリスト、ダイアナ・ロセロペーニャ氏はブルームバーグテレビジョンで、クシュタールが「さらなる買収を行うためのバランスシート上の余力は約100億ドル未満」だと指摘。セブン&アイの買収はおそらく実現しないだろうと述べた。
原題:Couche-Tard Not Giving Up on Bid to Acquire 7-Eleven’s Owner (1)(抜粋)
(最終段落にアナリストのコメントを追加します。更新前の記事でクシュタールが買収案を引き上げた時期を9月に訂正済みです)
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