衣料品チェーン「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング株が一時4.5%安と、9月30日以来の日中下落率となった。柳井正会長兼社長が先週の英BBCのインタビューで、新疆ウイグル自治区産の綿花を使用していないと発言したことの影響が警戒されている。

  ファストリの広報担当は11月30日、同氏の発言が中国での不買運動につながるリスクやビジネスに与える影響など状況を注視していると、ブルームバーグの取材に対して述べた。

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  ファストリの中国圏での売り上げは、2024年8月期で全体の2割強を占めている。ユニクロは9月末時点で、世界全体で2509店舗を展開しており、そのうち1031店舗は香港、台湾、中国本土にある。

  ブルームバーグ・インテリジェンスのキャサリン・リム氏は柳井氏の発言について、目新しいニュースではないが、中国本土のソーシャルメディア上での議論を過熱させたとし、同社が25年8月期の中国での大型店舗の開店を延期する可能性があると指摘した。

「貿易戦争2.0」の始まり

  新疆ウイグル自治区で生産される綿花を巡っては、「トミー・ヒルフィガー」や「カルバン・クライン」の親会社である米PVHが22年のサプライチェーン報告書で、新疆ウイグル自治区からの調達はないと説明し、24年9月に中国が新疆綿をボイコットしている疑いがあるとして調査の実施を発表した。

  ジェフリーズ(香港)のJohn Chou氏らは、PVHに次ぐファストリによる表明は「貿易戦争2.0」の始まりをさらに強調するもので、新疆綿の世界的な排除が進むとリポートで指摘。これから始まる次の段階では、米国および欧州連合(EU)政府が日米欧の企業に対して、原材料リストから新疆綿を完全に排除するよう圧力をかけるだろうと分析した。

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