米政権移行チーム、EV支援打ち切りや排ガス規制緩和を勧告

トランプ次期米大統領の政権移行チームは、電気自動車(EV)や充電施設への支援を打ち切ることや、中国製の自動車・部品・バッテリー材料の輸入制限を強化することを勧告している。EVgoの充電スタンド、米カリフォルニア州で昨年10月撮影。(2024年 ロイター/Mike Blake/File Photo)

[16日 ロイター] – トランプ次期米大統領の政権移行チームは、電気自動車(EV)や充電施設への支援を打ち切ることや、中国製の自動車・部品・バッテリー材料の輸入制限を強化することを勧告している。

ロイターが入手した文書で明らかになった。

外国製の全てのバッテリー材料に輸入関税を課し、米国内の生産を増やすことも勧告。その上で同盟国とは個別に例外規定について交渉することを提言している。

バイデン政権は国内のバッテリー供給網を中国から切り離した上でEVへの速やかな移行を促す政策を導入しているが、こうした政策を大きく転換することになる。

政権移行チームは、充電施設の整備や安価なEV生産の促進に振り向けている資金を、中国に依存しないバッテリー供給の実現やバッテリー生産に必要な重要鉱物の確保といった国防の優先事項に充てることを勧告。

バイデン政権が導入したEV購入者に対する最大7500ドルの税額控除を廃止することも提言している。

トランプ氏を支持するテスラ最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏は7月、EV税控除廃止による同社売り上げへの打撃は小規模にとどまるが、ゼネラル・モーターズ(GM)(GM.N), opens new tabなど老舗自動車メーカーを含む競合社に壊滅的な打撃を与えるとの見方を示していた。 もっと見る

勧告書はバッテリー、鉱物などのEV部品は「国防生産にとって不可欠」だが、EVと充電施設は不可欠ではないと指摘している。

政権移行チームの報道官は、トランプ次期大統領がガソリン車とEVの双方で自動車産業を支援すると表明した。

<排ガス規制の緩和も勧告>

政権移行チームの勧告が実現すれば、自動車メーカーはガソリン車の生産拡大が可能になる。また、排ガスと燃費の基準を2019年の水準に緩和することも提言しており、車両1マイル当たりの排出量を現行規制の2025年の上限よりも平均で約25%増やし、平均燃費を約15%下げることが可能になる。

また、カリフォルニア州による独自の厳格な排ガス規制の導入を阻止することも勧告。同州の規制は10州以上で採用されている。

政権移行チームの提言の多くは、主に国防関連向けに国内のバッテリー生産を奨励する狙いがあるとみられる。EVメーカーも含めた国内自動車メーカーの保護が目的とみられる提言もある。

勧告書には以下の提案が盛り込まれている。

– バッテリー、重要鉱物、充電部品など「EV供給網」の輸入品に関税を課す。国家安全保障上の脅威に対処する通商拡大法232条に基づいて輸入を制限する。

– バッテリーのリサイクルと製造、充電施設・重要鉱物の生産など「連邦政府資金によるEVインフラプロジェクト」を加速するため環境審査を免除する。

– 敵対国へのEV用バッテリー技術の輸出制限を強化する。

– 米輸出入銀行を通じて米国製EV用バッテリーの輸出を支援する。

– 外国市場に対外開放を促してEVを含む米国製自動車を輸出するため、関税を「交渉手段」として利用する。

– 連邦政府機関によるEV購入義務を廃止する。

– 電動軍用車両の購入・開発を目的とした国防総省のプログラムを終了する。

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Chris Kirkham is a business reporter in Los Angeles who has covered topics including tobacco, worker safety, internet privacy and corporate sustainability efforts. Chris previously worked at The Wall Street Journal and the Los Angeles Times.

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