2019年6月、板門店で対面するトランプ米大統領(当時、右)と北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記(c)MONEYTODAY
【01月11日 KOREA WAVE】北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記が、間もなく米大統領に就任するトランプ氏との対話を実現するため、日本との接触を試みる可能性がある――こんな見方が浮上した。北朝鮮が日本との対話を、米国との核凍結または核軍縮に関する交渉の前段階として活用するのではないかとの見通しだ。また、第2次トランプ政権で北朝鮮問題が優先順位から外されないよう、韓国に対する無人機侵入など、示威行動に出る懸念も指摘されている。
シンクタンク「峨山(アサン)政策研究院」のチャ・ドゥヒョン(車斗鉉)副院長は8日、「2024年北朝鮮の対外政策評価と2025年の展望」をテーマにした報告書を発表した。チャ・ドゥヒョン氏は、今年の北朝鮮の外交・安全保障政策の方向性として▽ロシアとの密着▽朝中露の三角連携の強化▽日米韓協力の弱点を突く「通米封南(米国と通じ、韓国を封じる)」戦略――の三つを挙げた。
チャ・ドゥヒョン氏は「キム総書記は表面的には米朝交渉に関心がないような態度を見せつつも、トランプ氏の第2期政権との交渉に期待を寄せているだろう。キム総書記はトランプ氏との早期の会談を実現しようと奔走するだろう。その過程で北朝鮮と日本の接触が再開される可能性があることを留意すべきだ」と述べた。
日本では現在、石破茂首相も国内で支持率が低迷しているため、政治的な転換を図る目的で北朝鮮との対話に乗り出す可能性があるとの見解も示された。実際、岸田文雄前首相も昨年2月に北朝鮮との対話の可能性を開かれたものとしていたが、日本人拉致問題の対立により、対話は実現しなかった。
チャ・ドゥヒョン氏は「北朝鮮は米国や日本との直接取引の可能性を開いておき、最終的には『核保有国の地位』を既成事実化することに勝負をかけるだろう。その過程で北朝鮮は南北間の物理的・心理的断絶を深め、内部体制の安定を保証すると同時に、韓国に対する戦略的優位を確保しようとするだろう」と予測した。
また、第2次トランプ政権の対外政策において北朝鮮問題の優先順位を引き上げるには、朝鮮半島での緊張が必要とも指摘する。チャ・ドゥヒョン氏は「北朝鮮は無人機侵入などの挑発を続け、西海(黄海)での『海上国境線』の宣言を契機に南北間の衝突リスクを高め、韓国を標的とした戦術核能力の強化を誇示するため、7回目の核実験などを実行する可能性がある」と指摘した。
そのうえで次のように提言している。
「米朝が対話を再開するかどうかは米国の判断に委ねられるべきであり、我々は韓国と調整されていない対北朝鮮支援の費用を負担しないという立場を米国に明確に伝えるべきだ」
「米国が北朝鮮の核脅威を最優先で排除したいのであれば、北朝鮮の核能力を抑制するために(韓国国内への)戦術核の再配備など、具体的な拡大抑止措置を並行して実施する必要がある点を強調すべきだ」
さらに日朝関係については「北朝鮮による日朝接触の示唆は、最終的には日米韓協力を瓦解させる目的で利用され得る点を指摘する必要がある。北朝鮮の核脅威を抑制するためには、米国の拡大抑止公約を強化するため日韓が協力して努力すべきだという点を強調する必要がある」と訴えた。
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