1月21日 トランプ新米大統領(写真)は20日、連邦政府職員に週5日オフィス勤務を求め、一部公務員を「スケジュールF」と呼ばれる政治任用とする大統領令に署名した。写真は20日、米ワシントンで撮影(2025年 ロイター/Carlos Barria)
[ワシントン 20日 ロイター] – トランプ新米大統領は20日、連邦政府職員に週5日オフィス勤務を求め、一部公務員を「スケジュールF」と呼ばれる政治任用とする大統領令に署名した。
ホワイトハウスのウェブサイトに2つの声明が掲載された。一つは、トランプ大統領が全省庁の長に対し「在宅勤務制度を終了し、職員がそれぞれの勤務地でフルタイムでオフィス勤務することを義務付けるために必要なあらゆる措置を取る」よう命じたとしている。
もうひとつは、政府高官が持ついかなる権限も「大統領によって委譲されたものであり、彼らは大統領に対して説明責任を果たさなければならない」としている。
「スケジュールF」は、トランプ氏が第1次政権で導入した連邦政府職員の雇用区分。政策の決定に関与する上級公務員を政治任用とすることで任命や解雇をより柔軟にできる。バイデン前大統領が廃止したが、今回復活させた。
連邦政府職員の労働組合は、「スケジュールF」導入の大統領令の差し止めを求める裁判を20日、ワシントンの連邦裁判所に起こした。
2つの大統領令は、連邦政府職員の採用凍結、大統領選からトランプ氏を支えた米実業家イーロン・マスク氏をトップとする「政府効率化省(DOGE)」設置と組み合わせて出された。
専門家は、今回の措置は、不満を持つ職員の退職につながるとみられるが、それがトランプ政権の狙いだと指摘した。マスク氏は最近、テレワークという「コロナ禍時代の特権」を剥奪すれば、「自主的な退職が相次ぐだろうが、それは歓迎すべきことだ」と述べている。
全職員がオフィス復帰義務の対象となるわけではない。連邦政府職員の4分の1は労働組合に加入しており、その多くは在宅勤務やハイブリッド勤務を認める労働協約の対象となっている。
ただ行政管理予算局(OMB)長官候補のボート氏は、人事承認公聴会で、バイデン前政権時代に締結された協約は「懸念すべき現象であり、われわれは精査している」と述べ、協約撤回に動く可能性を示唆した。
トランプ氏がオフィス復帰を命じる大統領令に署名すると、歓声が沸き起こり、トランプ氏は不敵な笑みを浮かべながら文書を掲げた。
労使問題が専門のニコラス・ブルーム・スタンフォード大学教授は、出社勤務の強制は、多くの闘争、解雇、辞職を引き起こす可能性が高く、最終的に政府サービスの質低下、安全や社会保障の中核が機能不全をきたす可能性があると述べた。
米国行政府職員連合(AFGE)は「ハイブリッド勤務の利用を制限することは、連邦政府機関が優秀な人材を獲得するための競争を困難にする」と電子メールで述べた。
昨年8月のOMBの報告書によると、連邦政府職員の約46%、110万人がリモートワークの対象で、そのうち約22万8000人が完全にリモートワークを行っている。
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