フジ・メディア・ホールディングスの社債スプレッド(上乗せ金利)が一段と拡大した。子会社のフジテレビジョンでスポンサー離れが相次ぎ、同社は30日に今期(2025年3月期)の業績予想を下方修正した。
ブルームバーグのデータによると、28年12月に満期を迎えるフジHD債のスプレッドは30日時点で約124ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と過去最高を再び更新した。23年12月の発行後、昨年末まではおおむね30bp台で推移していたが、騒動を受けて急上昇した後なかなか縮小しない。
スプレッドの拡大は業績悪化に起因して債務不履行(デフォルト)のリスクが上昇していることを示す。ブルームバーグのデータによると、格付投資情報センター(R&I)の信用格付けが「A」格以上の国内メディア・インターネット企業の社債の中で、フジHD債のスプレッド水準は突出して高い。
メディア・インターネット業界でフジHD債のスプレッド水準の高さが際立つ
Source: Bloomberg
フジHDの株価は31日午前、最大で5.3%下落した。ただ、1月中旬以降では3割強上昇と、社債スプレッドと対照的な動きとなっている。
フジHDは元タレントの中居正広氏と女性の性的トラブルに対するフジテレビの対応を巡って広告収入の減少に直面し、今期の営業利益は従来予想比でほぼ半減する見通しとなった。市場でコーポレートガバナンス(企業統治)への関心が高まる中、機関投資家はコンプライアンス面でもフジHDの債券を保有しにくい。
業績への悪影響は来期も続く可能性がある。フジテレビの清水賢治社長は27日、番組改編期を迎える4月以降のテレビ広告の販売交渉が事実上止まっていると発言した。
フジHDの広報IR担当者はブルームバーグの取材に対し、スプレッド拡大はこれまで業績への影響がはっきりしなかったためだとの認識を示し、今回業績を下方修正したことで投資家の疑心暗鬼を払拭(ふっしょく)したいと話した。
フジ・メディアHDの社債スプレッド動向(bp)
Source: ブルームバーグ
(最終段落にフジHDのコメントを追記しました)
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