「水を止めることが必要」スロープ作りに“新たな障害”陥没から4日目 救助活動続く【報道ステーション】(2025年1月31日)
埼玉県八潮市で道路が陥没してトラックが転落した事故から4日目。現在、運転手の救助のため、スロープを作っています。穴は、8メートル程度が土砂で埋まっているため、底の部分までは、約7メートル。周囲には、下水道管などのがれきが散乱している状態です。運転手の安否も、運転席が、どこにあるのかさえも、まだわかっていません。
31日夕方、地元消防の会見が開かれました。
草加八潮消防局情報指令課 中澤智徳課長
「(Q.運転席部分が下水管の内部にある可能性は)可能性の一つに考えられる。どこにあるかわからないので、5メートル近い下水管なので、そこに落ちている可能性も考えられる」
スロープ作りの作業は、昼夜を問わず行われています。当初は、31日夜の完成を目指していましたが、6割程度掘り進めたところで障害物にぶつかり、作業は予定通り進んでいないのが現状です。
八潮市付近では、2月2日の朝晩を中心に3センチの雪が降る予報となっていて、救助作業の難航が心配されています。
穴の内部を見ると、水が出ていて、まるで湧水のようです。
消防や県によりますと、雨水などを通す管から、川の水が逆流している可能性もあるとしています。その管は、東京湾に流れ込む川とつながっているため、潮の満ち引きも関係あるのではとみています。
続く制限のある生活。
所村アナウンサー
「東京・足立区のこちらの銭湯では、下水道の利用を制限されている対象地域の住民に無料で開放されています」
避難所で生活している夫婦。妻は、出産を控えているそうです。
避難所で生活する夫婦
「(不安が)ないと言えば、うそになるけれども、みなさん優しくしてくれているので大丈夫かなぁ」
国土交通省は、全国の7都府県の自治体に下水管の緊急点検を要請。直径2メートル以上で大規模な処理場に接続している下水道管が対象です。
八潮市に近い千葉県松戸市では、下水管の目視での調査を開始しました。
大阪・堺市でも設置から30年以上経過している下水道管などを対象に調査を行いました。
作業員
「鉄筋が出ている箇所から腐食が起こってくる。そういう箇所はなかったので、異常はなかった」
福岡・久留米市でも硫化水素の濃度を計測したり、目視での腐食確認などを行いました。
埼玉県の大野知事は、こう述べました。
埼玉県・大野元裕知事
「地盤改良をしながら作業を進めるということで、本格的な人命救助の後押し可能な態勢が明日中にできる」
今後は、どんな作業が進められていくのでしょうか。
元東京消防庁特別救助隊・田中章氏
「こうやって見ると、堆積物が、相当、載っている。特に大きな重いものコンクリートブロックなどが見えるが、重機の先で砕いて細かくしながら、運搬して外に出していく。最終的に近い位置に近づいたら、隊員がスコップで泥を排除する。がれきを取り除くまでに、2日ぐらいはかかると思う。早く進めたいが、これから来るであろう雨が心配。雨が降ると、雨水が浸入して、さらに崩れる。乾いてきた足場や壁面が緩み、また崩落の危険、活動に障害が出る。救助隊員は非常に焦っている。早く救助して家族の元に、早く帰してあげたい。誰しも思うことだが、なかなかそれができない。二次災害の危険があまりにも高い。トラックのキャビンが押しつぶされず、空気と生存できる空間があれば、可能性としては、まだ捨てていない。焦ってはいけないと思う」
陥没現場では、夜通しでスロープの設置作業を急いでいました。それと同時に穴の中の壁が崩落しないよう、薬液の注入作業を行っています。
◆男性の救助にむけて急ピッチで設置が進むスロープとは、どのようなものなのでしょうか。
穴は徐々に広がっていて、現在は、幅はもっとも長いところで40メートルに広がっています。そして、すぐそばでは、30日からショベルカーが地面を掘って、スロープ作りを進めています。
下水道管の破損が陥没の原因とみられていて、一番深い部分が15メートルあります。穴にたまった土砂の中に、男性が乗っていたトラックの運転席部分があるとみられています。
穴の底に向かって緩やかな坂道を作り、重機の足場を作り、救助活動をできるようにします。スロープの長さは30メートル、幅は、重機が通れる4メートルほどとなっています。
現場は、いまも危険で、石灰で土を固めながら進めています。消防によりますと、スロープは、2月1日夕方ごろの完成を目指しているといいます。完成したら、まず重機でがれきを撤去。その後、隊員らが手作業で土を掘って男性を捜索します。ただ、スロープ工事が完成しても、穴の中での水の流出が収まらないと、救助活動はできません。
この水について、消防は、下水、地下水、雨水など、どれなのかは断定できないとしています。
埼玉県の大野知事は「下水などの流入は、一定程度、コントロールできている」としたうえで、対策として「穴の中の状況をより安定させるため、地下水のしみ出しを止める薬液を31日、注入した」としています。
穴の中で何が起きているのでしょうか。
地盤工学が専門の芝浦工業大学・稲積真哉教授は「陥没で大きな穴ができたことで、周辺の地下水の流れが変わり、あらゆる方向から地下水が集まっている可能性がある。穴の中で安全に救出活動を続けるには、とにかく水を止めることが必要。水を止める薬液の活用は有効」といいます。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
3 Comments
アメリカなら家族が訴訟を起こせば数十億円は取れる事案だが、日本だとせいぜい数十万から数百万円で決着させられそう
無理ならもう自衛隊派遣したら?県知事さんよ。
こんなに大事になるとは