日系自動車産業に広がる懸念…“トランプ関税”カナダは報復策 メキシコも対抗へ【報道ステーション】(2025年2月3日)

トランプ政権は、カナダとメキシコに25%の関税、中国には10%の追加関税を打ち出していて、4日から発動されます。

カナダは、早速、復策を発表。金額にして16兆円を超えるアメリカ製品に同じく25%の関税を課すというものです。

カナダ トルドー首相(1日)
「意見の相違は確かにありましたが、私たちはいつも克服してきました。トランプ大統領が“新たな黄金時代”を築きたいなら、カナダを罰するのではなく、手を携えるべきです」

一部の州では、アメリカ産のアルコール類を撤去する方針が打ち出され、すでに店頭から消えたところもあります。

メキシコも関税を含めた対抗措置を取る方針ですが、関税戦争は避けたいのが本音です。

メキシコ シェインバウム大統領(2日)
「トランプ大統領には『関税で戦うのではなく、対話を続けましょう』と言いました。そうすれば互いに理解することが可能です。この方法はよくありません。非常に重要なことです。どこかで理性的にならなければいけません」

トランプ大統領は、不法移民や合成麻薬の流入への対策を関税の名目としていますが、関税は、自身への支持をも揺るがしかねない劇薬です。

アメリカの全輸入額の43%が、今回、関税のターゲットにした3カ国からのもの。関税をかければ、輸入品の価格に転嫁され、その分を払うのはアメリカ国民です。インフレが再燃し、平均的な世帯で、購買力が1200ドル(約19万円)減るとの試算も出ています。

トルドー首相は、アメリカ国民にこう呼びかけました。

カナダ トルドー首相(1日)
「この選択は、確かにカナダ国民に痛手となりますが、それ以上に、あなた方アメリカ国民にも重大な結果を招きます。食料品やガソリン代の高騰につながります」

トランプ大統領は、カナダ、メキシコの両首脳と協議する予定ですが、譲る姿勢は見せていません。

アメリカ トランプ大統領(2日)
「カナダの人たちは愛しているが、指導者とは意見が合わない。戦いたいなら受けて立つ。思う存分に戦えばいい。短期的に少々の痛みを伴うことは、みんなわかっているが、アメリカは、長い間、あらゆる国から搾取されてきたのだ。だから速やかに変える。アメリカを再び偉大に」

“トランプ関税”が、世界経済を揺らしています。

週明けの東京市場の日経平均株価は、一時、1100円以上値を下げました。特に値を下げたのが自動車関連株です。その訳は、自動車メーカー各社が、関税のターゲットとなったメキシコやカナダに生産拠点を置いていること。

メキシコ中部には、日系を中心に自動車産業が集まる地域があります。
グアナファト州にある工場では、部品の金型が製造されています。この会社は、メキシコ進出以来、年々、売り上げを伸ばしてきました。25%の関税がかかるとなれば、影響は避けられません。

日系自動車関連メーカー営業 高橋拓士さん
「仮に25%上がった場合、うちも弊社のお客さまも『どうコストカットしていこうか』『上がった分をどう回収していくか』に視点を置いている。お客さまが撤退したら、仕事にも、直接、影響が出るので、すごく怖い」

◆トランプ大統領が25%の関税発動を決めましたが、そもそも関税は、誰がどこに払うものなのでしょうか。

関税とは“輸入品にかける税金”。誰が払うのかというと、実は、輸入する業者が払います。つまり、ある品物をアメリカに輸入する場合、その輸入する業者が、アメリカ政府に対して払うことになります。例えば、100万円で輸入できていた自動車。これに25%の関税がかかると、プラス25万円で、仕入れ値が125万円になります。

そのまま価格に上乗せすると、値上がりし、輸入品よりも自国製品が売れるようになる。つまり、自国製品を守るというのが狙いの一つとされています。

一方で、アメリカの市民にとっては、これまで安く買えていた輸入品の値段が上がる。物価高・インフレがますます加速する可能性も出てきます。

日本時間4日午後2時1分から適用される25%の関税。カナダとメキシコから輸入されるほぼすべての製品に適用されます。これに対し、カナダは報復関税を課すことを決定し、メキシコも報復関税の可能性について示唆しています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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