野村ホールディングス(HD)が5日発表した2024年10-12月期(第3四半期)の連結純利益は前年同期比2倍の1014億円だった。ブルームバーグが集計したアナリスト5人の予想平均724億円を上回った。
主要3部門の税前利益は前年同期比81%増の1275億円。四半期ベースでは17年半ぶりの高水準となった。欧米やアジアでの債券・株式の関連取引が好調だったほか、国内事業を中心に投資銀行業務も拡大し、ホールセール部門が大きく伸びた。国内リテールを担うウェルス・マネジメント部門も増益だった。両部門とも継続的なコスト削減効果も寄与した。
主要3部門の10-12月期の税前利益(増減は前年同期比)ウェルス・マネジメント :45%増の462億円インベストメント・マネジメント:21%増の189億円ホールセール :2.7倍の624億円
野村HDの四半期ベースでの純利益は、23年1-3月を底に改善傾向にある。国債取引を巡る相場操縦や顧客への強盗殺人未遂事件などの不祥事が相次いで発覚し、今四半期業績に与える影響も懸念されたが、前四半期比で7四半期連続の増益を果たした。
会見した北村巧財務統括責任者(CFO)は「これまでの戦略的な取り組みが成果として表れた。経営の優先課題だった海外ビジネスの収益性も着実に改善している」と総括した。
主要3部門の税前利益の推移
会社資料
米モーニングスターのアナリスト、マイケル・マクダッド氏は「今回の決算で大きな欠点を見つけるのは困難だ。全体として好環境下で資本コストを上回る収益を上げており、非常に好調な業績だった」と評価した。
4-12月累計の主要3部門の税前利益は前年同期比2.1倍の3365億円。今期の利益計画に掲げていた2880億円を上回る結果となった。全体の純利益は同2.5倍の2688億円だった。
足元の業績について北村CFOは、第3四半期と比較すると「ややスローな出だしだが悪くない水準」と説明。通期純利益としては06年3月期の3043億円を上回る「過去最高益の更新が見えてきた」と語った。
同日、東京港区高輪に保有する研修センターを売却するとも発表。売却時期は3月中旬から4月中旬ごろで、約560億円の税前利益を計上する見込みという。
一方、不祥事による業績への影響については「機関投資家から取引を控えられたり、社債の引き受けから外されたりするなどの収益のマイナス面はあった」と振り返った。
野村HD傘下の野村証券では、トレーダーが国債の先物取引で相場操縦(金融商品取引法違反)を行った問題が24年9月に発覚。その後、社債の引き受け主幹事から外されたり、一部の機関投資家が取引を控えたりしたことが明らかになっていた。また、同11月には野村証元社員が顧客に対する強盗殺人未遂などの罪で起訴された。
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(会見の内容など情報を追加して記事を更新します)
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