セブン&アイ・ホールディングスの買収を検討している同社創業家陣営が、米銀大手のシティグループとバンク・オブ・アメリカ(BofA)に融資を、タイの財閥グループに出資をそれぞれ打診していることが6日、分かった。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

  タイ財閥のチャロン・ポカパン(CP)グループ傘下で同国などでセブン-イレブンを運営するCPオールにも約5000億円規模の出資を求めるが、出資総額は4兆円のままの見込みだ。銀行からの借り入れとして5兆円程度見込んでおり、邦銀に加えてシティとBofAに融資を打診。北米でコンビニエンスストア事業を手掛けるセブンーイレブン・インク(SEI)の既存の借入金の借り換えを両行が引き受ける方向で調整を進めているという。

  CPオールを呼び込み出資部分の厚みが増すと同時に、米銀の参加で邦銀一行当たり融資額を抑える狙いがある。カナダのコンビニエンスストア大手アリマンタシォン・ クシュタールの買収提案に実質対抗する形で浮上した経営陣が参加する買収(MBO)計画は、巨額資金の調達に懸念の声も上がっていたが、大きく前進しそうだ。

  シティグループとBofAはコメントを控えた。CPオールからは現時点で回答を得られていない。

  創業家は伊藤忠商事と連合を組んで買収主体となる特別目的子会社を設立。創業家が約5000億円、伊藤忠が1兆円超の普通株で出資し、米系投資会社のアポロ・グローバル・マネジメントやKKRなどが合わせて1兆5000億円相当の優先株を拠出する方向で調整してきた。三井住友銀行や三菱UFJ銀行、みずほ銀行など邦銀大手がそれぞれ1兆円規模の融資を検討中だ。

  MBO計画の実現性が高まる中で、クシュタールの動きが今後焦点の一つになりそうだ。またセブンは社外取締役で構成する特別委員会で買収提案を検討しているとしており、同社の丸山好道最高財務責任者が1月に、意志決定の時間軸として5月の定時株主総会が一つの目安になると述べていた。

  CPグループは伊藤忠とも協業関係にあり、2015年には共同で中国中信集団の傘下企業に大型投資を実施した。CPオール株は6日、報道を受けて一時前日比5%安となった。アジア・プラス証券はCPオールが出資に参画すれば、金利負担が増大し利益成長の障害になるだろうと、今週発行したメモで述べていた。

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