バンス米副大統領は11日、仏パリで開催中の「AIアクションサミット」で演説した。AIの興隆を新たな産業革命の幕開けに例え、トランプ政権は最強の人工知能(AI)システムが米国に構築されるようにすると述べた。パリで11日撮影(2025年 ロイター/Benoit Tessier)
[パリ 11日 ロイター] – バンス米副大統領は11日、仏パリで開催中の「AIアクションサミット」で演説した。AIの興隆を新たな産業革命の幕開けに例え、トランプ政権は最強の人工知能(AI)システムが米国に構築されるようにすると述べた。
バンス氏は、AIの安全性でなくAIの機会について話すために来たとした上で、「トランプ政権は、AIが経済イノベーション、雇用創出、国家安全保障、医療、表現の自由などにおいて無数の革命的応用が可能と確信している。その開発を制限することは、この分野の既存企業に不当な利益をもたらすだけでなく、最も有望な技術の1つを麻痺させることを意味する」とし、過度な規制に警鐘を鳴らした。
特に欧州連合(EU)に対し、「過剰な」規制はAI技術を窒息させかねないと述べ、コンテンツのモデレーションを「権威主義的な検閲」として拒否。EUのデジタルサービス法(DSA)や一般データ保護規則(GDPR)など「大規模な規制」は、中小企業にとって法令順守のコストが際限なくかかることを意味するとの批判を展開した。
「AIはイデオロギー的偏見から自由でなければならないと強く感じている。米国のAIは権威主義的な検閲の道具として利用されることはないと考えている」とした。
米国はAI分野のリーダーであるとし、米国のAI技術が今後も世界標準であり続けることを保証する、と述べた。その上で、AI分野で他の国、企業と連携する姿勢も示した。「開放的、協力の精神で、目の前のAI革命に乗り出したい」と述べ、そのためにAI技術の創造を阻害するのではなく促進する国際的な規制体制が必要だと主張した。
バンス氏の演説には、中国企業を念頭に置いたとみられる発言もあった。
「CCTV(監視や防犯用カメラに使用される閉回路テレビ)から5G機器まで、独裁政権によって多額の補助金が出され輸出されている安価な技術が、市場に出回っていることは誰もが目にしている」と指摘。「彼らとの提携は、情報インフラへの侵入や奪取を画策する独裁主義的な支配者に国家を渡すことを意味する」とした。
中国新興AI企業ディープシークを名指しはしなかった。
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