ソフトバンクG、10―12月期純損益3691億円の赤字 市場予測は黒字

2月12日、ソフトバンクグループが発表した2024年10―12月期の連結純損益(国際会計基準)は、3691億円の損失(前年同期は9500億円の黒字)だった。2017年7月、都内で撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)

[東京 12日 ロイター] – ソフトバンクグループ(9984.T), opens new tab(SBG)の後藤芳光・最高財務責任者(CFO)は12日開催した決算会見で、今後投資を加速していく考えを明らかにした。

後藤氏は米国で進める「スターゲートの発展次第で、投資はこれから少し加速する」と述べ、傘下のビジョン・ファンド(VF)での投資に加えてスターゲートの投資が上積みされることで、四半期で20億ドル程度だった投資額は今後大きくなっていく可能性があるとの見通しを示した。

SBGはAI(人工知能)事業を中心とした企業グループを目指す中で、AI関連の投資を相次いで発表している。1月にはSBG、米オープンAI、米オラクル(ORCL.N), opens new tabとともに米国でAIインフラ拡大のためのプロジェクト「スターゲート」を公表。最大5000億ドルを投じ、このうち1000億ドルを直ちに開始するとした もっと見る 。

後藤氏によると、スターゲート計画ではSBGがファイナンス(資金調達)を担当し、同社の負担は、大きなプロジェクトファイナンスの中の資本の部分についてのみになるという。資本部分についてもほかの出資者とともに拠出すると説明し、債券やメザニンなどについては、リスクに応じた商品設計を行った上で投資先を探すため「そんなに大きな負担にはならないと想定している」との見方を示した。

SBGは今年初めにオープンAIへの追加出資を発表。今月3日には、オープンAIとともに、生成AIの合弁会社の設立を公表している。後藤氏は、AI事業の成功には資金調達余力を拡大してくれるNAV(保有株式価値から純有利子負債を差し引いた時価純資産)の伸びが鍵と指摘。「将来的なNAVの拡大のための投資を今やるタイミング」とした上で、公表した案件については「目指す山を登っていくのに、いくつかの入り口を示したに過ぎない」と話した。

<ソフトバンクGの10―12月期、最終赤字に転落 ビジョンFが損失に>

12日に発表した2024年10―12月期の連結純損益(国際会計基準)は、3691億円の損失(前年同期は9500億円の黒字)だった。7―9月期の1兆1796億円の黒字から赤字に転落した。AI(人工知能)関連企業に投資するVFの業績が悪化したほか円安も影響した。

VFの10─12月期の投資損益は3527億円の損失(前年同期は6007億円の黒字)で、7─9月期の6084億円の黒字から赤字になった。韓国の電子商取引(EC)最大手のクーパン (CPNG.N), opens new tabの株価が下落、未上場株の株価もさえなかった。前四半期には、9四半期ぶりに累積投資損益が黒字に転換したが、再度損失となった。

期末のNAVは29.3兆円だった。ただし、後藤氏によると1月以降株価が非常に伸びており、足元の水準は33.5兆円まで拡大している。

ソフトバンクGは通期の業績見通しを開示していない。IBESがまとめたアナリスト4人のコンセンサス予想では、10─12月期の連結純損益の平均値は2344億円の黒字だった。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab

WACOCA: People, Life, Style.