世界保健機関(WHO)が、500億ドル(約7兆7000億円)規模の寄付基金の設立を目指す。米国による脱退の方針に脅かされる中で資金調達の多様化を図る。
「初期段階」の構想では年15億ドルから25億ドル規模の収益を生み出す可能性があると、WHOのテドロス事務局長が12日に記者会見で話した。加盟国やWHO財団からの拠出金にこれらが加わるという。
WHOは、エイズウイルス(HIV)、ポリオ、エボラ出血熱などの世界の感染拡大を抑える上で主導的役割を果たしており、データ収集や基準設定にも取り組む。トランプ米大統領がWHO脱退を表明したのを受け、最大の拠出国である米国に代わる調達先の確保を急いでいる。米国は2022年-23年に13億ドル近く拠出した。
教会や病院、大学などの慈善団体や非営利団体は、長期の資金源として寄付基金を設立することが多い。こうした基金には寄付者が資金を拠出し、現金や株式、債券に配分され投資収益は慈善目的に使用される。
テドロス氏は構想について「実現に向け理解を深めようとしているところだ」と言及。「加盟国やその他パートナーが構想の実現に協力することを期待している」と述べた。
基金の設立方法の詳細については明かさなかった。
原題:WHO Eyes $50 Billion Endowment Fund to Fill Looming US Gap(抜粋)
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