トランプ氏の大統領1期目のスタート時にドルを下落させた要因が、今年再びドル安材料になっているとの見方を米モルガン・スタンレーが示した。
ブルームバーグのドル指数は、2016年大統領選後の大幅上昇後、17年には年間ベースで過去最悪のパフォーマンスを記録した。米貿易政策から欧州政治まで、さまざまな要因がドル安を後押しした。
トランプ政権2期目が始まり1カ月を経て、こうした同じ材料の多くが再び重しとなり、ドルは今年、当時と同様の動きとなる可能性があると、アンドルー・ワトラス氏、アリアナ・サルバトーレ氏、アルニマ・シンハ氏らモルガン・スタンレーのストラテジストは指摘している。
同氏らは24日のリポートで、17年にドルが下落した理由について、「貿易政策や世界経済の成長、欧州の政治が影響した」と言及。「17年に下落した際と多くの同じ要因で今年もドルは下落するだろう」とコメントした。
Greenback’s Trump-Fueled Gains Collapsed in 2017
Change in Bloomberg Dollar Spot Index days after US election
Source: Bloomberg
ブルームバーグ・ドル・スポット指数は、大統領選から昨年末までに4%余り上昇した。トランプ政権の厳しい関税政策が、インフレを再燃させ米債利回りを押し上げると投資家は見込んでいた。
しかし今年に入り反転し、同指数は年初から2%安となっている。17年には最終的に8%下落した。モルガン・スタンレーのチームは、ドルが今年どこまで下落するとみるかについて言及していない。
モルガン・スタンレーはドル安の一因として、トランプ氏の関税政策が多くの投資家が想定していたほど厳しくないもようであることを挙げている。
同社が投資家を対象に実施した調査によれば、回答者の30-40%は、米国が広範囲の相互関税を課すことはないと予想しており、4月の期限は「地政学的な譲歩」を引き出すためのものだと考えている。
Traders Are Curbing Bullish Dollar Expectations
Gauge of options sentiment is positive but down since January
Source: Bloomberg
欧州の政治も今後数カ月間、ドルの重しとなる可能性がある。注目点の一つがドイツの総選挙の影響で、キリスト教民主・社会同盟 (CDU・CSU)と社会民主党(SPD)の連立の可能性はユーロ高につながる可能性があるとの見方をモルガン・スタンレーは示している。
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原題:Dollar’s Faltering Path Echoes 2017 Plunge, Morgan Stanley Says(抜粋)
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