28日の東京外国為替市場の円相場は1ドル=149円台前半に上昇。トランプ米政権の関税政策を懸念して日本株が大きく下落し、リスク回避の円買いが優勢になっている。日本銀行の内田真一副総裁の国会答弁が期待されたほどハト派的ではないとの見方も円買いを後押ししている。

  大和証券の石月幸雄シニア為替ストラテジストは内田副総裁の答弁について、市場が期待している昨年8月の『内田プット』的な発言がなく、「株価の下げが大きくなっており、リスク回避的な円買いが強まりやすい」と述べた。

  内田副総裁は28日の衆院財務金融委員会で、日本経済は緩やかに回復していると述べ、基調的物価は2%目標に向けて徐々に高まっているとの見解を示した。大和証券の石月氏は、来週の同副総裁の講演についても「去年8月ほど円高ではなく、株安も急激ではないので、どちらかと言えば次の利上げに向けた地ならしになる」と予想した。

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 円相場は対ドルでニューヨーク終値比0.3%高の149円37銭-午前10時31分現在一時149円28銭に上昇

  円は一時150円台前半に下落する場面もあった。朝方発表された2月の東京都区部消費者物価指数(CPI)は生鮮食品を除くコアで前年比2.2%上昇(予想は同2.3%上昇)となるなど、全体的に予想比やや下振れした。

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  りそなホールディングス市場企画部の井口慶一シニアストラテジストは、トランプ大統領の関税発言で全般的にドルが買われたものの、日銀の追加利上げ観測が根強い中で「円をドル以外の通貨に対して買いたい動きが目立っており、ドル・円は足元の水準で上下しやすい」との見方を示した。

ドル・円の推移

 

 

 

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