ビットコイン価格の下落は、より大きな上昇をもたらすことで知られる典型的なブレイクアウトとリテストのセットアップのように見える。
2020年半ばのビットコインと日本の10年物国債利回りでも同様のパターンが見られた。
最後に休暇に出かけたときのことを思い出してみてほしい。家のドアに鍵をかけ、車に向かって歩き出した後、旅に出る前に鍵がしっかりかかっていることを確認するために、引き返したことがあるのではないだろうか。
金融市場も、さまざまな人間の感情に導かれて、同様の動きを見せる。長らく続いた抵抗を乗り越えて納得のいく動きを見せた後、資産は通常、そのブレイクアウトの正当性を確認するために後戻りする。これは、以前の抵抗がサポートに転じたことの強さを試すものであり、その後、より大きな上昇相場が展開される。
「ブレイクアウト&リテスト」という現象は、資産クラスを問わずよく知られている。ビットコイン(BTC)の現在進行中の売りは、まさにブレイクアウトポイント、つまり11月に突破された7万3835ドルの以前のレジスタンスがサポートに転じた、健全なリテストなのかもしれない。
言い換えれば、この水準に近づいたところで下落の勢いが失速し、より大きな上昇の舞台が整う可能性があるということだ。
[BTCの週足チャート。ブレイクアウトとリテストの動き。:CoinDesk/Omkar]
ビットコインは今月、15%以上下落し、8万ドルを下回った。これにより、7万3835ドルの以前の抵抗線(レジスタンスライン)が支持線(サポートライン)に転じたことが明らかになった。価格は11月初旬にその水準を上回り、暗号資産(仮想通貨)支持派のドナルド・トランプ(Donald Trump)氏がアメリカ大統領選挙で勝利した後、数カ月にわたる調整局面を終えた。
市場がさらなる大幅な上昇を遂げる前に、反転またはブレイクアウトポイントを再訪する傾向は、投資の行動面にその根源がある。
利益を確保するとなると、一般的に人々はリスクを嫌う。そのため、利益が出ると、トレーダーは利益確定を急ぎ、勝ちトレードを大きく伸ばすことを避ける。いわゆるプロスペクト理論は、ブレイクアウト後の急上昇が突然勢いを失い、ブレイクアウトポイントのリテストにつながる理由を説明している。BTC保有者は12月以来、10万ドルの節目付近で利益確定を行ってきた。
現在、価格が下落に転じ、ブレイクアウトポイントである7万3835ドルに近づいているため、初期の急騰を見逃した市場参加者が参入し、その水準が維持されることを確実なものとする。その結果、以前の抵抗線が支持線に転じたことで反発し、さらに多くの買い手が参入し、より大きな上昇につながる可能性がある。
まさに2023年第3四半期と2020年8月から9月に起こったことである。
[BTCの2020年と2023年のブレイクアウトとリテスト。:TradingView/CoinDesk]
いずれの場合も、ブレイクアウトとリテストにより、新たな最高値を更新する大きな上昇が生じた。しかし、トレーダーは、リテストに失敗したり、意味のある反発が起こらなかったりした場合は、その裏に弱さがあることを認識し、本格的な下降トレンドへと発展する可能性があることを念頭に置く必要がある。
筆者は長年にわたり、市場でブレイクアウトあるいはブレイクダウンのリテストがより大きな動きにつながる例を数多く見てきた。
例えば、日本の10年物国債の利回りを見てみよう。2024年1月にダブルボトムのブレイクアウトが起こり、その後、ブレイクアウトの水準に何度も戻った後、数年にわたる高値を更新した。
[10年物日本国債の利回り。:TradingView/CoinDesk]
一方で、豪ドルと米ドルのペア(AUD/USD)は12月に主要なサポートトレンドラインを割り込み、より大幅な下落を示唆した。今月初旬にトレンドラインの抵抗線まで反発したものの、今週は急激な損失を被っている。
[AUD/USDの下落とリテスト。:TradingView/CoinDesk]
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:CoinDesk/Omkar
|原文:Bitcoin Sell-Off Could Be a Textbook ‘Breakout and Retest’ Play: Godbole
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