はしか患者が米国で急増している。今年に入り3カ月足らずで確認された感染者数が昨年の総数を上回った。はしかに関連した死者も2人報告され、懸念される感染拡大が続いている。
米国疾病対策センター(CDC)は当初、14日の報告で年初から308件の症例が確認されたとしたが、その後301件に訂正。前週比で36%増えた。昨年1年間では285件が報告されていた。
保健当局によると、感染が広がっている14州では感染者の大半がワクチン未接種ないし予防接種歴不明だという。
米国で10年ぶりの死亡例も報告されたテキサス州は、はしか感染拡大の中心地となっている。14日時点の州集計によると、年初来での同州の症例数は259件と、全米の大多数を占める。
同州当局によれば、はしかと診断された症例の約13%が入院。死亡例は基礎疾患がない学齢期の子どもで、ワクチン未接種だったという。
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隣接するニューメキシコ州の保健当局は、はしか陽性と確認された成人の死亡例を報告した。ただ死因はまだ確定していない。
Total Measles Cases in 2025 Have Surpassed 2024
Reported cases of measles in the US, 2000-2025
Source: Centers for Disease Control and Prevention
CDCによると、はしかと今年診断された人の90%強はワクチン未接種。はしかウイルスは感染力が非常に強く、患者と接触したワクチン未接種者の最大9割が感染する。はしか・おたふくかぜ・風疹(MMR)の混合ワクチンは1回の接種で93%の予防効果がある。
テキサス州でもゲインズ郡での感染が目立つ。同郡はサウスプレーンズ地域の農業地帯に位置し、子どもの約5人に1人が予防接種を受けていない。
同郡にはキリスト教アナバプテストの教派メノナイトのコミュニティーがあり、信徒は宗教上の理由から学校でのワクチン接種の免除を申請することが多い。ニューメキシコ州の感染者はゲインズ郡と隣接するリー郡に集中している。
トランプ政権発足後にケネディ厚生長官が就任してから、わずか数週間ではしかの感染が拡大。同長官は、MMRワクチンと小児自閉症が関係しているというすでに否定されている主張を含め、ワクチン接種の安全性を疑問視する理論を繰り返し唱えてきた。
原題:Texas Measles Outbreak Pushes US Case Count Past 2024 Total (2)(抜粋)
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