ティー・ロウ・プライスは米10年国債利回りについて、最終的に6%に達すると予想している。ドイツの財政拡大の動きがこの逆張り的な見方を裏付けると考えている。
債券部門最高投資責任者(CIO)の アリフ・フセイン氏はリポートで「先進国の長期国債利回りは大幅に上昇する方向だ」とした上で、指標の米国債利回りは向こう1年半に6%に達するだろうと指摘した。同氏は30年近い経験を持つ市場のベテラン。ティー・ロウで2950億ドル(約44兆円)の資産運用を支援する。
フセイン氏の見方は米債券市場で広がる強気な賭けに逆行するものだ。市場では、トランプ大統領が引き起こした関税合戦が景気に水を差し、米連邦準備制度が利下げに動くと予想されている。
10年債利回りは21日時点で4.24%と、1月に付けた今年の高水準(4.81%)から低下。スワップ市場では、年内に0.25ポイントの利下げが2回以上織り込まれている。
フセイン氏は米財政赤字とインフレ的なトランプ氏の政策を理由に、金利上昇を2024年終盤から予測。今年1-3月(第1四半期)に5%に達し、その後6%に達すると見込む。この予測はまだ実現していないが、同氏はドイツの財政計画が金融市場のゲームチェンジャーとなり、債券発行による政府の資金調達競争が激しくなると予想する。
「長期的には米国、ドイツ、中国という世界経済の主要3カ国が自国経済の下支えに向け景気対策を講じる可能性が高く、債券利回り上昇とスティープ化に向かう明確な道筋をたどると考えられる」とした上で、リスク資産には追い風になるとの見解を示した。
原題:T. Rowe Sees German Fiscal Push Emboldening 6% US Yield Call(抜粋)
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