19日深夜から20日早朝にかけ、ロシアとウクライナは互いに大規模なドローン攻撃を仕掛けた。トランプ米大統領が提案したエネルギーインフラに対する攻撃制限を両国は順守する用意があると表明したものの、攻撃は激化した。
ウクライナ空軍司令部が20日報告したところによると、同国にロシアの攻撃型無人機(ドローン)「シャヘド」171機が飛来した。機数は一昨日の137機、昨日の145機から増加した。
ゼレンスキー大統領はX(旧ツイッター)で「ロシアは宣伝文句とは裏腹に、ウクライナに対する攻撃を止めていない」と述べ、「このような攻撃をするたびに、ロシアは平和に対する本当の姿勢を世界にさらけ出している」と主張した。
ウクライナ非常事態庁はソーシャルメディアのテレグラムで、防空部隊が大半のドローンを撃墜したが、中部のクロピブニツキーで10人が負傷し、建物数棟が損傷したと明らかにした。
ロシアのドローン攻撃現場で消火作業に当たる救急隊員ら(20日、ウクライナ・クロピブニツキー)
Source: State Emergency Service of Ukraine
一方、ロシア国防省はテレグラムで、国内6地域でウクライナのドローン132機を迎撃したと発表。このうち54機はサラトフ州とエンゲリス空軍基地を標的としたドローンで、これまでで最大級の攻撃だと、同州知事は指摘した。
ロシアのプーチン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領はいずれもエネルギー関連施設に対して30日間の攻撃制限を守る意向を示したが、ドローンによる攻撃を続けた格好だ。プーチン氏は18日の電話会談で、トランプ氏が提案した30日間の完全停戦を拒否した。
この翌日にトランプ氏と電話で会談したゼレンスキー氏は、エネルギー施設に対する相互の攻撃停止に合意した。ただ、攻撃停止の実質的な監視には米国の関与が必要だと繰り返し呼び掛けている。
ドローン攻撃の数時間前に米国のウィトコフ特使はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、エネルギー関連施設に対する部分停戦が発効したと述べ、ロシアの国際的な孤立を終わらせる突破口になり得ると称賛していた。
ロシアはクロピブニツキーを21機のドローンで攻撃し、同市へのこれほどの規模の攻撃は戦争開始以降で初めてだと、地方当局者がテレグラムで明らかにした。市内の鉄道インフラが損傷し、運航に乱れが生じているとウクライナ国鉄は説明した。
ウクライナはロシアの航空能力をそぐため、エンゲリス空軍基地をたびたび標的としている。今回の攻撃では基地に火災が発生し、敷地内に貯蔵されていた弾薬の爆発を引き起こしたと、ウクライナ参謀本部はXで報告した。
サラトフ州のブサルギン知事がテレグラムに投稿したところによると、このドローン攻撃で2人が負傷、約30棟の建物が損傷し、基地での火災で近隣住民が避難しているという。
原題:Russia and Ukraine Keep Up Drone Attacks Amid Energy Truce (1)(抜粋)
WACOCA: People, Life, Style.