米アップルは人工知能(AI)分野での遅れを取り戻すべく、異例の幹部刷新を行っている。事情に詳しい関係者が明らかにした。

  ティム・クック最高経営責任者(CEO)は、AI部門を率いるジョン・ジャナンドレア氏の製品開発遂行能力を疑問視しており、音声アシスタント「Siri」の担当を複合現実(MR)ヘッドセット「Vision Pro」を担当するバイスプレジデント、マイク・ロックウェル氏に移すという。未発表情報であることを理由に関係者は匿名で述べた。

  アップルの広報担当はコメントを控えた。

  ロックウェル氏は、ソフトウエア担当の最高責任者クレイグ・フェデリギ氏の直属となり、「Siri」はジャナンドレア氏の指揮下から完全に外れることになる。アップルはこの人事について週内に従業員向けに発表するとみられる。

  この動きはアップルが直面する苦境を浮き彫りにする。同社のAI技術は業界のライバルに遅れを取っており、追いつく兆しもあまり見られない。AIサービスの「Apple Intelligence」はスマートフォン「iPhone16」の最大のセールスポイントだったが、導入が遅れ、今のところ成功を収めていない。

Apple Will Add 20,000 US Jobs Amid Threat From Trump Tariffs

「Apple Intelligence」は「iPhone16」の最大のセールスポイントとされていた

Source: Bloomberg

  「Siri」の立て直しは特に急務だ。同社は昨年6月に発表した新機能のリリースに苦戦している。その中には、ユーザーのデータを利用してクエリーを実行する機能も含まれる。この技術が完成していないにもかかわらず、同社は「iPhone16」を売るため数カ月間にわたって機能強化を宣伝していた。アップルは今月に入り、開発上の問題を理由に「Siri」のアップデートをさらに延期した。

  「Siri」の開発を監督する経営幹部は最近の会議で、重要な新機能のローンチが遅れていることを「みっともない」、「恥ずかしい」といった言葉で表現した。この厳しいコメントを出したのはシニアディレクターのロビー・ウォーカー氏。同氏はSiri部門の全スタッフミーティングで、新機能をいつローンチできるかさえ不明瞭だと述べたという。

  アップル株は今年に入って14%下落。この日はAI幹部刷新のニュースが伝わると売りが強まり、一時1%を超える下落となった。

原題:Apple Shakes Up AI Executive Ranks in Bid to Turn Around Siri(抜粋)

(第6段落以降を追加します)

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