2025/03/22 09:50 ウェザーニュース
いよいよ桜の時期となり、まもなく各地でソメイヨシノの開花が始まろうとしています。
簡易な計算で開花時期の目安がわかる“積算気温の法則”も、東京ではまもなく目安に到達する見込みで、数日以内には開花となりそうです。
桜の開花メカニズム
休眠打破の仕組み
桜の花芽は、開花前年の夏にはできています。それが秋から冬にかけて、生長しないように休眠状態に入って年を越します。そして充分に低温刺激を受けた後に気温がぐっと高まった段階で休眠から目覚めます。これを「休眠打破(きゅうみんだは)」といいます。
気象情報会社などが行う開花予想では、休眠打破を考慮して開花日を予想しています。
自分でも簡単にできる予想の仕方
そういった複雑なやり方をとらずとも、実は東京・靖国神社にある桜の標本木については「400℃の法則」「600℃の法則」と呼ばれる手順を使えば、手軽におおまかな桜の開花を予想できるといいます。内容はいたって簡単。
【400℃の法則】
2月1日以降の日平均気温の合計が400℃に達する頃に開花する
【600℃の法則】
2月1日以降の日最高気温の合計が600℃に達する頃に開花する
つまり、2月1日を「休眠打破の日」と仮定して開花予想の起算点に設定し、そこから毎日の平均気温や最高気温を足し算していくだけで桜の開花予想ができるのです。
東京の桜の標本木は千代田区の靖国神社にあり、現在と同じ木での観測となったのは1966年からです。1966年から2024年までの59年間のさくらの開花日と、東京の気温を計算すると、2月1日から開花日までの積算気温は「平均気温では408.4℃」、「最高気温では632.1℃」でした。このことからも、「400℃」「600℃」を目安にして、到達日〜数日以内の開花が平均的といえそうです。
1990〜2020年の30年間をもちいた「平年値」をグラフにしてみると、さくらの開花日の平年日は「400℃の法則到達日の2日前」「600℃の法則到達日の2日後」となっています。このことからも、それなりの精度が出ることが裏付けられます。
一方、大きく外れる年も…
ただ、大きく外れた年もありました。典型的なのが昨年2024年です。
昨年は2月中頃に季節外れの暖かさの日が多かったものの、2月下旬〜3月にかけては平年よりも寒い日が多くなりました。この結果、実際に桜が開花したのは「400℃の法則の9日後」「600℃の法則の11日後」となってしまいました。
平均的な気温推移であれば参考になる「400℃の法則」「600℃の法則」も、開花目前の時期が寒い場合には当たりにくいということがわかります。
今年はどうなる?
気になる今年はどうでしょうか。今年は2月上旬と下旬に二度の寒波があり、3月上旬にも雪の降るような寒い日が3〜4日ありました。それでも“法則”の達成ペースは平年値より1〜2日ほど早くなっています。このままであれば、平年の開花日3月24日よりも少しだけ早い開花になると予測を立てることができます。
ただ、やはり気になるのは開花目前の時期となる3月の気温です。3月2日〜21日の20日間平均気温は8.6℃と、平年と比べて0.2℃低い状況です。一方、開花目前となる今の時期をみると、昨日から気温が平年よりも高くなり、来週にかけて高い状態が続く傾向が予想されています。このため、昨年のように目安から大きく遅れることはないとみられます。
記事冒頭の写真は昨日撮影された靖国神社にある桜の標本木のつぼみの様子です。写真からは、あと2〜3日での開花が期待できるといえそうです。
「400℃の法則」「600℃の法則」はあくまで東京の標本木における経験則ですが、他の地域の桜も似たような計算ができそうです。地域ごとの特性がありそうですので、ご自身の近くの桜も調べてみると面白いかもしれません。
もっと簡単に開花予想を知りたい場合は、ウェザーニュースの「さくら開花情報」サイトをぜひご活用ください。
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参考資料など
WACOCA: People, Life, Style.