アクティビスト(物言う投資家)として知られる米ヘッジファンド運営会社、エリオット・インベストメント・マネジメントが、国内不動産大手の住友不動産株を取得したことが分かった。事情に詳しい関係者が明らかにした。
情報が非公開だとして匿名を条件に語った関係者によると、エリオットは住友不動産と、株主価値の向上策について協議している。エリオットによる住友不動産株の保有が明らかになったのは初めて。
協議の詳細は明らかになっていないが、自社株買いのほか、保有不動産や政策保有株式の売却など、エリオットの日本での他の投資先と同様、株主還元の強化に焦点を当てたものになる可能性が高い。住友不動産株の保有規模は明らかになっていない。
エリオットの広報担当者はコメントを控えた。住友不動産の担当者は面会して意見交換したのは事実と認めた。その上で、これまでの同社の経営実績、経営方針について、おおむね賛同を得ているとの認識を示し、今後も他の長期保有株主と同様に対話を続けていくとコメントした。
エリオットによる株式保有が伝わった後、住友不動産株は一時前週末比16%高の6358円まで急伸し、上場来高値を更新した。三菱地所や三井不動産など、ほかの不動産株も上げ幅を拡大した。
日本では政府や東京証券取引所が企業に資産効率や株価を意識した経営を促していることもあり、アクティビストの投資意欲が高まっている。ブルームバーグのデータによると、2024年の日本のアクティビスト投資の市場規模は米国に次ぎ2位だった。
エリオットは、富豪のポール・シンガー氏が設立したファンドで、日本でも最も著名な投資ファンドの一つ。これまでに三井不動産、東京ガス、大日本印刷などを標的にしてきた。
住友不動産は都内で200棟以上のオフィスビル、首都圏で高級マンションなどの資産を保有している。国内の不動産価格は近年、大都市圏を中心に高騰しており、時価で売却すれば多額の利益を計上できる可能性がある。
住友不動産の24年3月期の有価証券報告書によると、保有不動産は時価約8兆4000億円に対し、簿価は約4兆4000億円となっている。また、住友不動産は不動産会社の中でも政策株の保有比率が高く、5950億円を超える。有報によれば保有株にはダイキン工業やユニ・チャームなどが含まれる。
住友不動産はすでに株主還元策を一部強化している。昨年は350億円の自社株買いを発表し、配当金の増加ペースを加速させると公表した。
(第5段落に住友不の株価動向を追加して更新します)
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