2025年03月26日 16時00分
メモ
洗濯は水とエネルギーを消費するほか、生地の劣化はマイクロプラスチックや衣類ごみの原因にもなるので、フランス政府は環境への配慮を理由に頻繁な衣類の洗濯を控えるよう呼びかけています。しかし、政府のガイドラインには洗濯するまでに着る回数として「スポーツウェア3回」「ブラジャー7回」など、衛生観念には比較的おおらかなパリジャンでも眉をひそめるような目安が定められていたため、物議を醸しました。たっぷり汗を吸ったスポーツウェアをまた着るべきかについて、専門家が解説しています。
How often should I wash my exercise clothes?
https://theconversation.com/how-often-should-i-wash-my-exercise-clothes-250796
フランスの環境エネルギー管理庁(ADEME)の指針を元に、地元日刊紙のル・パリジャンがまとめた洗濯の頻度は以下のとおり。下着は毎回洗いますが、スポーツウェアは3回、コットン製のトップスは最大5回、ワンピースは最大6回、ブラジャーやパジャマは7回、ウール製のセーターは最大15回、ジーンズは最大30回着用してから洗うことが推奨されています。
L’Ademe suggère de ne laver ses jeans qu’après 15 utilisations pour des raisons écologiques.
Une pratique prisée par les adeptes du «slow wash» qui font tourner au minimum la machine.
On vous délivre les recommandations de l’Ademe ⤵️
https://t.co/EFg4sS6D9y pic.twitter.com/xI6hA0dw1J
— Le Parisien (@le_Parisien) February 3, 2025
オーストラリア・RMIT大学でファンション学士課程の上級講師を務めているカロリーナ・キンテーロ・ロドリゲス氏によると、スポーツウェア、特に合成繊維のものはたった1度の着用でかなりの数量の細菌が繁殖してしまうおそれがあることが、研究で判明しているとのこと。
衣類が汗などで湿っていると、細菌が増殖する速度が大幅に速くなり、細菌の数量が増えるに従って衣類も臭うようになります。その一方で、繊維に銀ナノ粒子やマイクロカプセル化されたエッセンシャルオイルを組み込んだり、抗菌処理を施したりすることにより細菌を効果的に抑制できるとの研究結果も報告されています。
キンテーロ・ロドリゲス氏は、スポーツウェアでの細菌の繁殖に関係している要因として以下の点を挙げています。
◆生地の種類
綿などの天然繊維は、合成繊維に比べて臭いの原因となる細菌が増殖しにくいので、天然繊維でできたスポーツウェアは洗濯まで数回着用できる可能性があります。
◆運動の強度と発汗量
細菌の増殖は生地の湿気と直接相関しているため、発汗量が最小限または少量となる低強度の運動、例えば緩やかなヨガやウォーキングなら、高強度の運動に比べて洗濯が必要になるまでの回数が多い可能性があります。
◆季節
温度や湿度、風量といった気候条件は、布地でどれくらい細菌が繁殖するかに大きな影響を与えるため、汗をかきにくい涼しい季節であれば、あまり頻繁に衣類を洗わない方が合理的な場合があります。
◆個人の健康
皮膚疾患がある人、免疫力が低下している人、皮膚感染症を起こしやすい人などは、スポーツウェアを再着用するかどうかについてより慎重になる必要があります。
結論として、キンテーロ・ロドリゲス氏は「綿のTシャツとショートパンツを着用して、涼しい朝の散歩など軽い運動をする場合、脱いだ後に風通しのいい場所に置いておけば1~2回の着用は問題ないかもしれません。しかし、合成繊維のスポーツウェアだったり、中程度以上の運動で着た衣類だったりする場合は、着用後に毎回洗うべきです。脇の下、股間、足など、細菌が繁殖しやすい部分に触れる衣類の場合は特にそうで、スポーツブラや下着、靴下、汚れや臭いが明らかなもの、激しい運動や炎天下で着用した衣類などは着用後に必ず洗濯する必要があります」と述べました。
なお、複数回着る場合には以下の方法で衣類を保管するよう専門家は推奨しています。
・運動後はすぐに干す。その際は、細菌を空気にさらすために裏返しにすること。
・しまう前に衣類が完全に乾燥していることを確認すること。
・洗濯かごなどに放置せず、風通しのいい場所に保管すること。
・できれば日光に当てること。
・着用済みの衣類と清潔な衣類は別々に保管すること。
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