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世界を動かす環境問題への挑戦者たち

矢印6723a2fe9b3250dbbceb6a6c地球観測衛星「ランドサット8号」が撮影した写真。USGS, processed by ESAスペインでは、今回のゲリラ豪雨により渓谷が氾濫、道路は冠水し、200人以上が亡くなった。スペインのバレンシア州に洪水がもたらした大きな被害を衛星写真などが示している。これらの写真は、アルジーラからバレンシアにおよんだ洪水の規模を示している。

2024年10月29日、スペイン東部のバレンシア州を襲った豪雨で鉄砲水が発生、200人が亡くなり、多くの人々が未だ、行方不明となっている。

今回の洪水は、スペインが過去数十年に経験した中で最悪ものだ。欧州宇宙機関(European Space Agency)が公開した衛星写真は甚大な被害の様子を捉えている。

また、Business Insiderが位置情報を取得し、グーグル・ストリートビュー(Google Street View)と比較した他の写真は、雨がバレンシア州とその周辺地域にどれほど深刻な被害をもたらしたかを示している。

衛星画像で見るハリケーン「ヘリーン」がフロリダ州にもたらした甚大な被害

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アルジーラからバレンシアにかけて広がる洪水を捉えた衛星写真洪水の前(左)と後(右)アメリカの地球観測衛星「ランドサット8号」が撮影した写真。洪水前後の、バレンシア周辺の様子が写っている。USGS, processed by ESA

アメリカの地球観測衛星「ランドサット8号(Landsat-8)」のこの写真には、鉄砲水前の10月8日と、鉄砲水後10月30日の、バレンシア州周辺の様子が写っている。

写真左下のアルジーラ市(Alzira)から、左上のバレンシア市(Valencia)までの距離は約28マイル(約45キロメートル)。

崩壊した道路を捉えた衛星写真洪水の前(左)と後(右)今回の洪水で被害を受けた道路のビフォー・アフター。スペイン、バレンシア。Satellite image ©2024 Maxar Technologies

Maxar Technologiesの衛星写真には、バレンシア州全域の甚大な被害が写っている。上の写真は、洪水で崩壊した道路だ。

10月31日の時点で、約300人が救助されないまま取り残されており、道路が崩壊したためだ、とスペインの国営通信社、EFEは報じた。

鉄砲水はレゴのように、車を車の上に載せた洪水の前(左)と後(右)鉄砲水が、車やがれきを路上に積み上げた。Google Maps; David Ramos/Getty Image

バレンシアのセダビー地区の写真を比べるとは、ほとんど同じ場所とは思えないほどだ。

洪水は車を横倒しにして、道路を冠水させ、幹線道路を遮断し、多くの住宅を損壊させた。屋根の上に逃れて救助を待つことを余儀なくされた人々もいた。

スペインのペドロ・サンチェス(Pedro Sánchez)首相は10月31日、政府は救助と復興努力を支援するため、警察官1800人以上、治安警備隊750人、兵士200人を配備したと述べたとEFEは報じた。

泥水が人、道、建物を茶色に染めた洪水の前(左)と後(右)スペインのパイポルタにある銀行の外観の洪水の前後の写真。Google Maps; Pablo Miranzo/Anadolu via Getty Images

この銀行は、バレンシア市の南、パイポルタにある。そこでは少なくとも62人が洪水で亡くなり、中には高齢の人もいた。

パイポルタには峡谷が通っており、豪雨の際にその峡谷が氾濫し、中心部一帯が洪水に飲み込まれた。古い家屋や高齢の住人が多いところだとスペインの放送局RTVEは報じている。

マリベル・アルバラト(Maribel Albalat)町長はRTVEに対し、人々は差し迫った危険であるとの警告を受けておらず、洪水は不意打ちだったと語った。

今回の洪水は、スペインにとって過去数十年で最悪のもので、人々は備えていなかった洪水の前(左)と後(右)建築事務所の前に積み重なった車。スペイン、カタロージャ。Google Maps; Ahmed Abbasi/Anadolu via Getty Images

今回の豪雨の原因は、「コールドドロップ」と呼ばれるものだ。暖かい空気が急速に上昇し、巨大な積乱雲が形成されるとゲリラ豪雨になることがある。

地球全体の気温が上がるにつれ、突然の大雨が世界的に問題になってきている。暖かい空気は 湿気を多く含むからだ。

一部の科学者らが「天候のむち打ち」と呼ぶ現象により、地球の多くの地域では、極度の干ばつと極度の洪水が激しく交互に発生している。

「実際、どの大陸に行っても、どの季節でも、何かしら起こっている」とカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)でこの現象を研究している気候科学者、ダニエル・スウェイン(Daniel Swain)は2023年1月、Business Insiderに語っている。それはカリフォルニアの干ばつを、一時的に解消した大洪水が起こった後だった。

数千人が救助されたが、多くの人々が閉じ込められたまま洪水の前(左)と後(右)道路のビフォー・アフター。バレンシア州クアルト・デ・ポブレー。Google Maps; Gonzalo Arroyo Moreno/Getty Images

行方不明者の数ははっきりしないままだ、とEFEは報じた。これまでに、約3400人が救助されたという。

今後数十年で地球が温暖化するにつれ、干ばつや雨などはますます極端になるだろう。

それが、科学者らが企業や国、産業に、CO2排出を大幅に削減するよう求め続けている理由の1つだ。状況が変わらなければ、今回のような洪水が今後も増えることを、研究は示唆している。

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