“突然の告知”は続く
そこで市場開放された有料道路電子料金収受システムに、どのような企業が参入したのかを調べてみた。参考までに2021年、テレパスグループは有料道路電子料金収受サービスで2億0600万ユーロの営業利益を記録している。この牙城を切り崩そうとする企業とは?
1社は旧公社系電力会社エネルとサンパオロ銀行によるムーネイゴーである。もう1社は保険会社ウニポールによるウニポール・ムーヴだ。
両社の使った月だけプランを比較してみる。ムーネイゴーは手数料+端末郵送料が10ユーロ、使用料はテレパスより高い1日2.2ユーロである。同社の公式ウェブサイトでは、月払い契約の末尾に、小さな申し込みボタンがあった。やはり、使った月だけプランは儲けが少なく、勧めたくないのだろう。対するウニポール・ムーヴは、手数料5ユーロ、使用料は1日50ユーロセント。テレパスを含む3社中最も安い。
高速道路の使用頻度が少ないわが家の場合、ウニポール・ムーヴ一択だ。端末は既存の保険代理店に出向く必要があるが、調べてみるとわが家の周辺に3カ所もあるから問題ない。
ということで申し込もうとしたとき、新たな電子メールがテレパスから舞い込んだ。「現行の使った月だけプランを少なくとも2024年10月31日まで延長することを決定しました」というではないか。「交通量が多い夏に、ユーザーへの不便を避けるため。また多くのお客さまから期限延長の要望があったため」との説明が続いていた。
渋滞しやすい季節に人気プランを廃止したら、専用ゲートに誤進入するクルマが増えて危険極まりないのは火を見るより明らかだ。それを回避できただけでもよしとしよう。
次に情報に注意すべきは、10月以降だ。2024年4月に「アルファ・ロメオ・ミラノ」が発表され、その数日後「ジュニア」に変更されたのもしかり。最後までわからないことが多すぎるのがイタリアなのである。
(文=大矢アキオ ロレンツォ<Akio Lorenzo OYA>/写真=大矢麻里 Mari OYA、Akio Lorenzo OYA/編集=堀田剛資)
電子料金収受ゲートのみのインターチェンジやランプウェイが増えているのは、日本のETCと同様である。
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ウニポール・ムーヴの端末受け取りポイント役を果たす保険代理店。
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