スクウェア・エニックスは3月28日、『サガ フロンティア2 リマスター』の発売記念番組「『サガ フロンティア2 リマスター』発売記念スペシャル~今夜はもっとクヴェル クレヨ!!~」を放送した。本番組では、『サガ』シリーズ総合ディレクターの河津秋敏氏、プロデューサーの三浦宏之氏、ディレクターの上野真史氏が出演し、本作のリマスター版で進化したポイントを紹介した。

『サガ フロンティア2』は、1999年にPS1で発売されたRPG。「サガ」シリーズ8作品目のゲームにあたる。同作では、壮大な歴史の中から、エピソードを選んで物語を薦めていくヒストリーチョイスシステムを採用。王家に生まれながらアニマをもたないことで国を追われた孤独なギュスターヴと、アニマに恵まれた採掘家ウィルという、真逆のような出自をもつ2人の主人公がそれぞれの物語を展開。2人の旅路はより大きな歴史へとつながっていく。

発売記念番組では、ペンギンズのノブオ氏のMCのもと、『サガ フロンティア2 リマスター』がどう変化したのかについて、開発陣による解説が実機プレイを交えながらおこなわれた。

『サガ フロンティア2』のリマスター化にあたって、オリジナル版のさまざまな部分に手が加えられている。まずは、グラフィックの向上とUIの再構築だ。グラフィックがリマスターされたことに加えて、元々4:3だった画面サイズが、リマスター化で16:9のフルHD化。それに伴いUIのレイアウトがオリジナル版から刷新されている。より快適で、わかりやすいゲームプレイを目指した再構築がおこなわれたそうだ。

また、快適なゲームプレイに繋がる要素として、連携や入場など、バトル関連の演出などがテンポアップして快適化している。さらに、バトル自体の速度も等速・2倍・3倍から選択できるようになっており、オリジナル版と比べてゲームの進行スピードは段違いに速くなっている。また、マップ移動やイベントシーンも倍速で遊べるようになった。これらのゲームスピードオプションで、新たに追加された周回要素「NEW GAME+」も遊びやすいことだろう。また、ヒントテキストの充実などにより、リマスター版で『サガ フロンティア2』を初めて遊ぶという人も遊びやすい作りだ。

リマスター版で追加されたシナリオは、オリジナル版で語られなかった部分を掘り下げるような物語が追加されている。追加シナリオは、河津氏、上野氏、そして小説家のベニー松山氏らによって制作されているそうだ。なお、ベニー松山氏はかつて「サガ フロンティア2 アルティマニア」の巻末小説「終末をもたらす者 Beender」を執筆するかたちで、オリジナル版に関わっていた人物だ。

放送内では、追加シナリオのひとつ「ケルヴィンとマリーの婚礼」が紹介されている。オリジナル版では、ケルヴィンとマリーの関係性が深まる模様は描かれていなかったため、その部分を補完する内容となるわけだ。さらに、ラベールなどほかのキャラクターを描いたシナリオも用意されており、上野氏によると少なくとも10以上、プレイした人に満足してもらえる量は収録されているという。なお、特定の出現条件を満たさないと見ることができない追加シナリオも存在しているそうだ。

さらに、シナリオ以外にバトル部分でも追加要素が用意されている。ひとつはオリジナルボスに登場したボスがさらに手強くなった「強化ボス」だ。強化ボスはゲームクリア後に挑戦可能で、強化された「将魔」と戦うことになる。強化ボスとの戦いは本編とは切り離されたものとなっていて、戦う際はシナリオ選択画面から挑みたい将魔を選択し、開始時にパーティーを組んで挑むことになる。パーティーは、時代が違うメンバー同士で組むことはできないようになっている。しかし、ギュスターヴの時代、ジニーの時代を切り替えることで、それぞれの時代のメンバーでパーティーを構成することができるようになっているそうだ。

なお、上野氏によると強化ボスはやり込み要素として用意しているとのことだ。難易度については、ゲームクリアをしただけのデータでは一筋縄ではいかない強さになっていると語られている。なお、オリジナル版ではバトルに参加しなかったキャラクターが戦いに参戦。デーヴィドなど、全5キャラクターがプレイアブルキャラクターとして追加されているそうなので、オリジナル版では叶わなかったお気に入りのパーティーで強化ボスに挑めそうだ。

さらに、バトルに関連する要素として、「成長能力継承」が追加されている。本作は、時代が過去から未来へと進んでいき、その中心に描かれるキャラクターも変化していく。そのため、たとえば序盤にギュスターヴを成長させても、その後に登場しなくなることで「成長させたのがもったいなかった」と感じてしまう作りになっていた。そこでギュスターヴを成長させた分の能力を、次の時代に登場するキャラクターに装備させるようなかたちで付与するのが成長能力継承だ。

成長能力継承は、パーティー内にいないキャラクターであれば誰にでも付与させることが可能。このシステムの追加によって、オリジナル版では最終パーティー以外は育成しなかったという人でも、それまでの時代の気に入ったキャラクターを成長させるという楽しみ方もできるようになったわけだ。また、倉庫システムが追加されたことで、アイテムを別の時代のパーティーでも共有できるようになっている。成長能力継承とあわせて、オリジナル版以上に最終パーティー以外でバトルをおこなう意味が生まれているだろう。

また、オリジナル版でポケットステーションを使って遊べた「Go!Go!ディガー」に変わって、リマスター版では「DIG!DIG!ディガー」というシステムが追加された。「DIG!DIG!ディガー」は、ディガーに発掘させることで、アイテムを入手できるシステムだ。ディガーにはどのアイテムを入手しやすいという特徴があり、さらにどこに発掘をしにいくかでどのアニマのアイテムが入手しやすいという選択肢が用意されている。また発掘時間が長いほど、貴重なアイテムが入手しやすいようになっているそうだ。

ちなみに、オリジナル版では「Go!Go!ディガー」でしか手に入らなかったアイテムが存在していた。河津氏によると、それらのアイテムをリマスター版でどうするのかと考えて、「DIG!DIG!ディガー」を実装するということになったそうだ。

ここまではゲームを目立った新要素を紹介してきたが、『サガ フロンティア2 リマスター』ではゲームを遊びやすくする調整が数多く施されている。特に、キャラクターがどのアニマを現在使えるのか、どの武器がどのアニマなのかなど、キャラクター情報の“見える化”によって遊びやすさが大きく向上している。オリジナル版を難しいと諦めた人も、遊びやすくなった本作でぜひ再挑戦してみるといいだろう。

なお、オリジナル版になかった技やアイテムも追加されているものの、ゲームバランス自体はオリジナル版が踏襲されている。遊びやすくなりつつも、難しいゲームであるということは念頭に置かれたい。

『サガ フロンティア2』は、PC(Steam)およびNintendo Switch/PS4/PS5/iOS/Android向けに配信中。

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