2025年度の政府当初予算が31日夕、成立した。参院による再修正に衆院が同意した。少数与党という政治構図の中で、二転三転した末に年度内成立にこぎつけた。

Japan's Prime Minister Shigeru Ishiba Attends Liberal Democratic Party's Annual Convention

石破茂首相

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  当初予算案は衆院で一度修正され、可決後に参院に送られた。その後、「高額療養費制度」の見直しを巡って与野党から批判が相次いだため、石破茂首相が今年8月の負担限度額引き上げを見送ると表明した経緯がある。再修正では、同制度見直しに伴って必要となる105億円を増額。予備費を同額分減らすこととしたため、一般会計総額は衆院通過時点の115兆1978億円から変わらない。

  参院で予算案を修正し、成立したのは現行憲法下で初めて。2度の国会修正を加えられたことは、数の力を失った少数与党の現状を映し出している。従来、政府は与党と調整した上で予算案を国会に提出すれば、そのまま成立に持ち込むことができたが、慣例が崩れた格好だ。与野党の勢力が拮抗(きっこう)する中で、政策決定のプロセスも変化した。

  石破首相は31日午後の衆院本会議で、いったん衆院を通過した予算案を参院で再修正した経緯について「改めて大変申し訳ない」と陳謝した。また、食料品やエネルギー価格の高騰で国民や事業者が「厳しい状況に置かれている」と指摘。25年度予算や税制改正に盛り込んだ所得税減税や高校無償化の先行措置など物価対策に資する政策の実施が必要だとの認識を示した。

(予算成立を受け、更新しました)

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