本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載
「マインドのDNA」では、いま注目のスタートアップ起業家をピックアップし、現在の価値観やマインドをさまざまな角度から深掘りしていきます。
今回登場いただいたのは、株式会社HAKKI AFRICA 代表取締役 小林 嶺司氏です。
小林 嶺司氏
シリアルアントレプレナー。大学在学中の2012年にEC事業で起業し、のちに売却。次に起業した不動産事業を3年で湘南地域No.1の実績にまで成長させ、業界大手にExit。その資金を元手に単身アフリカへ。2019年に自己資金で金融事業を開始。グラミン銀行総裁ら主催ピッチで優勝、金融庁/NIKKEI主催のピッチアワード受賞。Fintech Japan2021優勝・内閣総理大臣SDGsアワード外務大臣賞受賞、東京都知事特別賞、国連Youth Co:Lab U-35最優秀起業家。
──なぜ起業という選択を?
以前シェアハウスに住んでいた際に「もう少し場所にこだわったり物件の質を高めたりすれば、もっと良くなるのにね」と口にしてしまったことがありました。その時に、いつでも当事者になれるのに他人事のように話してしまった自分自身に情けなさを感じて。目の前の出来事に文句を言うのでなく、自らが改善策を実行する主体になるべきだと思ったわけです。そこで「自分が社会を変えるような表現者、体現者となるにはどうすればよいのか?」と考え、自然と起業家を志すようになりました。
ケニアに移住してからは「“日本人”として現地のために何ができるか?」を考えてきました。そこでたどり着いたのが、過去の起業の経験を生かしつつ、日本の世界的に見ても低い金利と世界トップクラスの未利用資産残高を有効活用できる「金融」という事業の軸です。
その後、融資先の事業形態を絞り込み、徹底的にデータを解析。これによって、いままで融資から断絶されていたギグワーカーの方々に低リスクでファイナンシングを届ける現在の事業が確立されました。
──最もゆずれないものは?
誰よりもスピード速く対応することです。
少しの改善も積み重ねれば確実に大きな変化になります。特に私たちの事業ドメインはケニア、南アフリカ、インドと各国に散らばっているため、少しでもアクションが遅滞すると周りに迷惑がかかってしまうわけです。多少アクションが粗くても、スピードの速さで補うことを大事にしています。
──チームをひとことで表すと?
「推進力」です。
目的意識が高いメンバーが多く、またそれぞれ共通点の少ない独自の業務を推進しています。だからこそ、お互いの足りない部分を冷静に分析し合い、補完することで前へと進んでいるチームです。
個々人に欠けていることはありつつも、それを上回るスピードと創造性で周囲を巻き込み、着実に前へ進むことを全社で目指しています。
(HAKKI AFRICAより提供)
──心身ともに疲れたときのリフレッシュ方法は?
睡眠と週末のフットサルです。現在住んでいるインドでは人口が多く、さまざまなスポーツが盛んなため、幸いにも月に何回かは身体を動かす機会を得られています。
──自分を突き動かすエネルギーは?
「現地の方々の負を解消し、貢献できている」という達成感です。ダイレクトに顧客の反応が見える事業であるため、「やっていて良かった」と感じられる瞬間は多くありますね。
私たちのビジネスはケニアのギグワーカーの課題解決はもちろん、日本の未利用資産の有効活用という両面の課題解決に寄与できる事業です。関わってくださるステークホルダーの方々も社会貢献ができているという自負のもと精力的に動いてくださるので、私たちも元気をいただきながら健全に事業を運営できています。
──CEOに必要な資質とは?
ジェネラルな回答は存在しないと考えています。
ただ、現在のフェーズの私たちが考えるCEOは、
どんな困難があっても止まらず指針を示し続ける人
即時の判断を行い、第三者の評価に関わらずその意思決定を「成功」にし続ける覚悟を持っている人
であると認識し、行動しています。
──価値観を形作った本は?
実業之日本社文庫「志高く 孫正義正伝」
孫さんが創業した頃といまでは時代背景が違うとはいえ、「情熱の強さでたった1人の人間が世界を動かせる」ことをまざまざと見せつけられ、強烈な嫉妬を覚えた書籍の1つです。
普通の人は「世界経済を動かす」などということは想像もつきません。できると考えてもない人間にそれは到底為せるわけもなく、自分自身の限界を決めるのは自分自身なのだと思わされました。
なお、本著内に記載の「龍馬が行く」もこの自伝の前編と捉えているので、影響を受けた本としてはこの2冊で1組ですね。
これら本の主人公と同じように、私も1人の人間の起こせる限界まで自分の使命を全うするつもりです。
──最後に、いまの夢を教えてください
日本の巨大経済を動かすのとは異なり、私たちはいちスタートアップが国政にまで影響を与えうるアフリカという場所にドメインを置いています。本当に手触り感のある「世の中の変革」を起すことが可能であり、社会的責任は大きいです。
人を騙したりズルをしたりすることで、いまだに得ができてしまう新興国の世の中において、私たちHAKKIは「誠実な努力」をした方が得になる仕組みやインセンティブ付けをサービス内に構築し続けます。
株式会社HAKKI AFRICA
(HAKKI AFRICAより提供)
アフリカでは多くのタクシードライバーが銀行融資の与信に値する書類や頭金を準備できず、個人のオーナーから車をレンタルしてタクシー事業を行うのが一般的。
そこでHAKKI AFRICAでは、独自のアルゴリズムを用いたクレジットスコアリングシステム構築。与信審査を機械的に行い、リスクを限りなく抑えた車両購入用のファイナンス商品をケニアで提供している。
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