韓国の化粧品が世界最大の美容品市場、米国で人気を集めている。それに伴い、韓国のパーソナルケア関連スタートアップを巡るM&A(合併・買収)も急増している。

  米国際貿易委員会(ITC)によると、これまで美容医療サービスの目的地だった韓国は昨年、化粧品の対米輸出でフランスを抜き、トップに躍り出た。韓国の食品医薬品安全庁によれば、同国の化粧品総出荷額は102億ドル(約1兆5200億円)と過去最高を記録。2020年は75億ドルだった。

  こうした成長ぶりを受け、フランスのロレアルなどは韓国のパーソナルケア資産に関心を寄せ、同業界では24年に2兆3000億ウォン(約2330億円)相当のディールが成立。件数ベースでは18件と記録的な数に上った。金額では過去最高に及ばなかったものの、ある助言会社はディールの勢いが続くと自信を示している。

  アドバイザリーを手掛けるMMPのディールパートナー、ハン・マンヒ氏は「プライベートエクイティー(PE、未公開株)ファンドが韓国化粧品への関心を強めている」とし、「対米輸出の力強い伸びを考えると、M&Aブームは今年も間違いなく続くと見込んでいる」と話す。

  M&Aの盛り上がりはKカルチャーに広く起因しており、韓国の化粧品業界は食品・料理部門と並び、恩恵を受けている。KポップやKドラマが世界的な注目を集める中、企業側はドラマなどのシーンに広告商品を登場させて販促を図る「プロダクトプレースメント」を活用。22.99ドルのスティックバームや2350ドルのLEDフェースマスクを販売し、米市場を主なターゲットとしている。

  ハナ証券のアナリスト、パク・ウンジョン氏によると、韓国ブランドは米国で外国製化粧品の約22%、日本ではほぼ40%を占める。

米国に軸足

  中国で消費が低迷し、韓国ブランドは米国に市場の軸足を移している。化粧品スタートアップは、「TikTok(ティックトック)」やレディットを用いた巧みなオンラインマーケティングをベースに米国でのプレゼンスを高め、コストコホールセールやアマゾン・ドット・コムとの提携も進めている。

  TikTokとカンターによる昨年の調査では、30年までに世界の韓国カルチャー商品支出額は2倍近くの1430億ドルに達すると予測されている。

  韓国の化粧品会社を巡る良好な見通しは、今四半期の売上高がネットベースで減少するとの見通しを示したエスティローダーなどグローバルブランドとは対照的だ。また、資生堂も中国の需要低迷に見舞われている。

  NH投資証券のアナリスト、チョン・チユン氏は今月17日付のリポートで、「米国は韓国の化粧品会社にとってチャンスの地だ」とした上で、「世界的な小売業は店頭で韓国化粧品ブランドを充実させようとしている」と指摘した。

7th China International Import Expo (CIIE) - Previews

アモーレパシフィックのブース(中国国際輸入博覧会前のイベントで)

Photographer: Tang Yanjun/China News Service/VCG/AP

原題:Seoul Overtakes Paris in Beauty Boom With Dealmakers Rushing In(抜粋)

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