燃料電池の開発を手がける中国企業「協氫(上海)新能源科技(HiTS (Shanghai) Hydrogen Power Technology )」(以下、HiTS)がこのほど、シリーズAで硅港資本(Silicon Harbour)から数千万元(数億円超)を調達した。資金は燃料電池を搭載したドローン(水素ドローン)の開発や製造、活用、サービスネットワーク構築に用いられる。
HiTSは中国で最初に、空冷式燃料電池システムとドローン用小型燃料電池を開発した企業だ。広東省深圳市に水素ドローン研究開発センター、上海市と安徽省池州市に燃料電池研究開発センター、池州市や山東省棗荘市、江蘇省張家港市に生産拠点を設けている。
池州市の生産拠点
2003年から小型空冷式燃料電池の開発に注力し、その生産能力は世界最大規模の年間10万台以上。小型空冷式燃料電池は二輪車やドローン、モバイルバッテリー、小型客船、無人配送車などに活用されている。
「2024年水素エネルギー産業の活力に関するリポート」によると、中国の水素エネルギー消費量は30年に3800万トンまで増え、60年には水素エネルギー需要が8500万トンを超える見通しだ。
需要の爆発的な増加に加え、チームが有する空冷式燃料電池に関する技術によって、同社はここ数年、燃料電池の用途を広げており、小型マルチコプタードローンや大型産業用ドローン、積載量の大きい産業用ドローンなど10種類以上のドローンを開発している。
一般的なドローンの多くはリチウムイオン電池を動力源としているが、太陽光パネルのクリーニングや物流、運搬、巡回点検、消防などの業務では、航続距離の短さや積載量の少なさがネックとなり、思うように普及が進んでいない。燃料電池は、エネルギー密度がリチウムイオン電池をはるかに上回るため、産業用ドローンに搭載するメリットが大きい。
創業者の趙麒麟会長によると、同社は現時点で、積載量50kg以上で航続時間2時間を超えるマルチコプタードローンを開発した唯一の企業だという。「同等クラスのドローンを開発しようとしても、現在販売されている空冷式燃料電池はほとんどが出力5キロワット(kW)以下にとどまるが、当社が独自に開発したドローン用空冷式燃料電池は20kWの出力を実現している」と説明した。
中でも最新製品の「擎天 H200」は、マイナス40度の超低温環境でも飛行可能で、最大積載量100kg、航続時間は3時間に達する。
ドローン用燃料電池「麒麟HiTS-10000」や二輪車用燃料電池の「麒麟HiTS-400」などさまざまな種類を開発
また、自社の強みを生かして、さまざまな種類の空冷式燃料電池を開発している。ドローン用燃料電池では「麒麟HiTS-10000」が出力12kWに上り、二輪車用燃料電池の「麒麟HiTS-400」と「麒麟HiTS-1000」は寿命が6000時間以上ある。
収益化については最近、同じく燃料電池を開発する氫洋科技(Hytek Ocean)と金額にして6億元(約120億円)の業務提携を結び、HiTSのドローンが黒竜江省大興安嶺地区のマイナス35度という極寒環境で郵便物の配達に活用されることになっている。また、年内に燃料電池を搭載したシェアバイク5万台を広東省や四川省、江蘇省などに投入する計画だ。
趙会長は海外事業について、すでに中央アジアの一部の国と取引関係を構築していることを明かしたほか、将来的には中東市場の開拓に力を入れると共に、中東地域に生産拠点を設立する方針を示した。今後は、株主の硅港資本によるバックアップを受けて海外のリソースを取り込み、事業のグローバル化を加速していくという。
*1元=約20円で計算しています。
(翻訳・大谷晶洋)
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