(CNN) 中国西南部・雲南省で発掘された5万~6万年前の石器が、東アジアには定着していなかった古代人類、ネアンデルタール人の技法で作られたことが、新たな研究で明らかになった。これは、ネアンデルタール人が実は中国まで流入していたことを示すのか。それとも、別種の古代人類が偶然同じ技法を発明したのだろうか。

2019年と20年、チベット高原の南西端に位置する雲南省ロンタンの発掘現場で、赤土の地面に掘った二つの穴から数百点の石器が見つかった。

研究チームが分析したところ、その多くにネアンデルタール人の特徴とされる「キナ型」の製作方式が使われていたことが判明。調査結果はこのほど、米科学アカデミー紀要(PNAS)に報告された。

キナ技法は、ネアンデルタール人との関連が指摘される「ムスティエ文化」の石器製作技術のひとつ。論文の共著者であるイタリア・フェラーラ大学の博士研究員、ダビデ・デルピアノ氏は、この技術が従来の地域から少なくとも7000~8000キロ離れた場所で確認された点が重要だと指摘する。

ネアンデルタール人との関係が指摘される「キナ型」の製作様式が中国で見つかったのは初という/Qi-Jun Ruan/Hao Li
ネアンデルタール人との関係が指摘される「キナ型」の製作様式が中国で見つかったのは初という/Qi-Jun Ruan/Hao Li

ネアンデルタール人は約40万年にわたりユーラシア大陸を駆けめぐった後、4万年前に絶滅した。だが、ロシア・南シベリアのアルタイ山脈以東では化石が見つかっていない。

一方、これまでにフランス南西部のラキナ遺跡など西欧の数カ所で、ネアンデルタール人の骨の化石とともにキナ型の石器が発掘されてきた。

デルピアノ氏によれば、キナ型石器がロンタンで見つかった理由として、二つの仮説が考えられる。ネアンデルタール人がはるか東へ移動し、現在の中国まで到達していたという説がひとつ。もうひとつは、別種の古代人類が偶然、欧州で作られていたのとそっくりな石器を製作したという説だ。

重要な意味を持つ化石

発掘された石器には、片側が鋭利な刃になっていて皮をはいだり木を削ったりするのに使う「スクレイパー」、木やりの先に取り付けたとみられる「尖頭器(せんとうき)」や、のこぎりのような切り込みの入った道具などが含まれていた。

研究チームによると、欧州のネアンデルタール人は5万~6万年前、冷涼で乾燥した気候と森林が広がる地形という環境の下、群れになって移動するトナカイや大型のシカ、ウマ、バイソンなどの狩りに石器を使っていた。

キナ型石器は多くの場合、長期にわたって使われ、たびたび補修されたり、再利用されたりしていた。当時の気候変動にともなう資源の乏しさや、移動の激しい生活様式に対応するためだったとみられる。

ロンタンから採取した古代の花粉粒を分析すると、中国西南部の気候や環境も、欧州と似ていたことが分かった。ただし、ここで動物の化石は見つかっていないため、住んでいた古代人類が同じような動物の狩りをしていたかどうかは不明だという。

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